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GB セレクション 選ばれし者

GBのマイナーRPGをやってみた感想文です。

このゲームはGB版のシャドウゲートです。

普通のRPGのようなターン制の戦闘画面があるため、その点はシャドウゲートよりちょっと進化している感じがしますが、基本的な操作や音楽などは、シャドウゲートそのまんまです。日本版のシャドウゲートを出しているケムコが作ったゲームなので、同じになっても問題は無い事ですが。

FC シャドウゲートは出来が本当に素晴らしい良作ソフトだったので、それをGBに移植したとなれば、そりゃGBでは頭一つ抜きん出るのは当然です。音楽もズバ抜けています。

ストーリーは以下の通りです。

ある国に王子が誕生しました。その赤ん坊の右腕には生まれつきアザがありました。

その王子が生まれたすぐ後に、城の中庭にマンホールくらいの穴が空きました。庭に穴が空いたとの報告を受けた王様がその穴を見に行くと、穴の中には地下へと続くハシゴが掛けられているのが見えました。ハシゴの先に何があるのか気になった王様は一人でハシゴを降りて行ってみました。ハシゴを降りると、そこにはレンガ造りの小さな小部屋があり、王様はその部屋に降り立った瞬間、何かに取り憑かれてしまいました。

地下から城に戻った王様は人が変わってしまっていて、生まれたばかりの我が子を殺そうと剣を振りかざしました。それに気が付いた側近の老兵が王子を抱きかかえて城から逃げ出しました。やがて老兵は王子と共に、森に住む高名な魔法使いの元を訪ね身を隠しました。そして、王様の変貌振りを魔法使いに話し、この先どうしたら良いかを相談します。すると魔法使いは、おかしくなってしまったとはいえ王様を殺す訳にもいかないので、王様を城ごと地下に封印してしまおうという事になり、二人の強力な魔法使いにも協力を呼びかけ、魔法使い三人で力を合わせて、王様を城ごと地下に沈めて封印しました。さらに、国王も城も一瞬で失い途方に暮れた国民達を樹木に変えて、『とりあえず生えているだけで生きていける』といった状態にしました。

それから十数年が経った状態が、このゲームのスタート地点です。

このゲームはシャドウゲートと同じで主人公の一人称視点です。ゲームが始まってまず最初に目にするのは『じい』と呼ばれる老人。前日談で主人公である王子を救って逃げた元老兵士です。ゲームスタート前に、前述にある大体のエピソードが語られ、『そろそろ城を地上に戻して、国民達を人の姿に戻して、この国を元の姿に戻さねば。』みたいな話で主人公が旅立ちます。

国を元通りにするには、まず、城を地中に沈めて人々を木に変えた魔法使い三人に会って、術を解く方法を聴き出さなければならないという事で、旅の目的の大半が、この三人の魔法使いに会うという道筋になります。ただ、この三人の魔法使い、みんな近所に住んでいます。GBの容量の問題もあるのでしょうが、フィールドマップの縮尺比率で見ると、このゲーム、半径1Km圏内くらいでの話です。ただ、マップの端から端まで横断するようなお遣いイベントが多数あったり、橋の下を覗き込んだり、教会の椅子の下を調べたり、とにかく狭い範囲内を隅々まで調べて回るような探索推理アドベンチャーみたいな要素もあるゲームなので、初見だとクリアまでに結構な時間を要すると思います。

ゲーム進行のストーリーは王道中の王道で、それぞれの魔法使いに会っても、まず 「お前があの王子?信じられん」 みたいに言われて、「本当なら証拠の○○を持って来い」 みたいに言われて、それを探して持って行くと信じてもらえて封印を解く鍵を貰えての繰り返しです。

みんな木にされているという設定があったからか、シャドウゲートを元にしているせいか分かりませんが、RPGとしてのシステムが脆弱で、アイテムを買えるショップはゲーム中の世界に一件しかありません。防具は、この店で売っているヨロイだけで、しかも一点物。一度買ったら終わりです。剣は終盤で『じい』が一段階だけ強化してくれますが、それだけで、要は最初から最後まで武器装備を変えることは出来ません。でも、このゲームに限っては、それで正解だと思います。やはりケムコってRPGのシステムは苦手なんじゃないかと思います。

このゲームの戦闘システム、どういうプログラムを使っているのか分かりませんが、物理攻撃のダメージに幅があり過ぎます。ダメージの上限は二桁、多分99なんだと思います。レベルが上がる毎にそのレベルでの上限値は上がっていくのですが、その上限値とダメージ0までの間でのランダムになります。最早スロットです。高確率で『急所を貫いた』というクリティカルが出て倍のダメージになる事はありますが、50くらいのダメージが出る確率も一桁しかダメージを与えられない確率もほぼ同じ。受けるダメージも同様。攻撃力とか防御とか、武器の種類とか、全く当てにならない、『たたかう』が『パルプンテ』な状態です。なので後半は魔法しか使い物にならないというシステムの決定的な甘さがあります。レベルも25までしか無いので、あっという間にカンスト出来る割に、終盤はレベル25だと結構キツイ。FF6やドラクエ5をレベル25でクリアするのと同じくらい敵の方が強い状態になります。当然、ラスボスはレベルMAXでも『たたかう』一択のゴリ押しでは倒せず、アイテムを使い果たしても勝てるかどうかは運次第みたいになるので、緊張感は得られます。ラスボス戦に合わせて敢えてこんな無茶な設定をしているのだとしたら逆に凄い調整ですけどね。

ストーリーはその後、三人の魔法使いが力を合わせて城を地上に浮上させようとするのですが『何か』が引っ掛かって城が上がってこない。そこで主人公が秘密の抜け穴のを通って地下に眠る城に行き、何が引っ掛かっているのか調査してくる事になります。

ネタバレ、というか、このゲーム最大のバグがあります。

地下の城へと通じる抜け穴は、ゲームスタート地点の『じいの部屋』のすぐ右の部屋にあるのですが、最初の時点からGB特有の画面のチラつきで、封印が解かれて穴が空いてハシゴが掛かっている状態がチラチラと映ってしまっています。まあ、序盤に見てもそれがなんなのか全く分からないでしょうが、話を進めてやっとここの封印が解かれても、「ああ、もう知ってるし」という感じで、ちょっと驚きと感動が薄いです。

地下の城は大したことないですが、じいの家から城に辿り着くまでの地下通路は果てしなく長いし、罠やループ、謎解きも多く、ここに出てくる『だいまどう』という敵は一度に二体以上出てきたら勝てないため、初見ヒント無しで城に辿り着くのは難しいというか、投げ出したくなるレベルです。

城の中は母の思い出に満ちていて、どうやら母(王女)は産んだばかりの我が子を手元から失い悲しんだ挙げ句、自分の意思で王様と共にこの城に残った後、王様に殺されたようです。 主人公は城の中で王様(父)を探しますが、どこにもいません。やがて中庭に出てバラ園の遊歩道に落ちてる岩を動かしたり叩き割ったりしていると地下に続くハシゴの掛かった穴を見つけます。その穴に掛かったハシゴを降りていくと、レンガで出来た小さな小部屋に降り立ちました。小部屋には何もありませんが、奥の壁を叩くと壁が崩れ落ちて、その向こうにもう一つの小部屋があり、そこにヨロイで身を固めた王様(父)がいて、王様(父)は主人公に襲い掛かって来ます。この王様も結構強いですが、出来るだけ回復アイテムを温存しておかないとラスボス撃破が難しくなります。

王様(父)を倒すと、その部屋の壁に描かれていた竜の絵がしゃべり出します。

竜はかつて定期的に何度も世界を支配してきましたが、その度に右腕にアザ(勇者の紋章)のある人間によって撃退され封印されてきた。竜の復活と、それを封印するための勇者の誕生は運命としていつも同時に起こる。近く復活の兆しを察した竜は、今回は同時に出現する勇者を幼いうちに殺しておこうと王様を洗脳し、産まれたばかりの主人公殺そうと企てたが、失敗した。しかし、今、目の前にいる勇者、主人公はまだ少年で、勝てそうだと言う。

そして、竜は壁画から抜け出し復活する。これがラスボスです。

先述したとおり、物理攻撃はダメージがランダムなので魔法一択で戦っていきますが、非常に厄介なのが、敵の物理攻撃もランダムな数値を叩き出すため、回復が間に合うかどうか、勝敗は運任せです。ここで負けると、じいの家に戻されるので精神的にかなりへこみます。

竜に勝つとエンディングになるのですが、エンディングに入るまで、城の鏡の外まで正気に戻った瀕死の父を担いで移動します。その道中は無言ですが、自分を殺そうとしたのはともかく、母(王女)を殺してますからね。システム上、道中話せないのを逆に上手く利用した素晴らしい演出だと思います。

ゲーム全体としては全ての面において簡易化され過ぎていて不便な点が非常に多いですが、GBでこれだけ出来ていれば、かなり健闘している良作だと思います。

面白かったです。

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