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14.第一種目、身体強化綱引き

本番綱引き編です。

二種目目は3話くらい続ける予定です。


綱引き。

ただ、綱を引くだけの単純な競技。


それをここまで危険かつ、なんとも激しい競技に変えられるのだから、魔術という技術は本当にすごい。



「しゃオラァぁぁあ!!!」


「セイ!セイ!セイ!」


「くんぬぅぅぅおりゃぁぁあ!!!」



第一演習場には、凄まじい気合と、土ぼこりにまみれていた。


生徒たちの足元は土にめり込み、縄がギシギシと悲鳴を上げている。

およそ綱引きの競技中には見えないだろう。



第一クラスは統一された動きで第2クラスを追い詰める。


綱引きの勝敗はおおよそ力の釣り合いが崩れた時、


力の釣り合いが崩れることで体制が崩れ、一瞬で勝敗を分ける。


「「セイ!セイ!セイ!」」


第一クラスは息の合う掛け声で第2クラスに追い込みをかけていく。


そしてついに均衡が崩れた。


勝者は第一クラス。



「よっしゃぁぁぁ!!」



第一クラスから歓声が上がる。


「まだ一試合目だ!次はある!」


ランゲルはクラスに声をかけ、クラスメイトもまたそれに答える。






続く第2試合、一試合目の勝者である第一クラス対、特別編成クラス。


第一クラスは先ほどの勝利によって波に乗っている。


「みんな!次も勝つぞ!!」


シュラウドは拳を突き上げて叫ぶ。


その一方で…


「あいつら大人しくねぇか?」


「たしかに、諦めたんじゃないか?協調性のない奴らにあの連携は破れないだろ。」


第2クラスのいうとおり、アレスたちは静かだった。



その静寂を破るが如く、競技開始の音が響く。



「いくぞぉぉぉ!!」


「「おおぉぉ!……おおぉぉ!?」」



シュラウドの掛け声に一斉に立ち上がる第一クラス、身体強化を発動して縄を引こうとするが…



「シュラウド君!身体強化が使えない!」



身体強化魔法が使えない。


「ジャミング!?この距離じゃあいつらも使えないは…ずだ?」



「「「勝利!勝利!勝利!勝利!」」」



異様な光景にシュラウドは呆然とする。



魔術は使用していない。


しかし縄はあっという間にあと数センチまで引っ張られていたのだ。


(なんだ!?身体強化は使っていない!腕力だけでこの一瞬で引っ張ったのか!?)




今から身体強化を発動しても意味がない。


シュラウドは全力で叫ぶ



「魔術に頼るな!全力で引け!!」



しかし時すでに遅く、勝負は30秒という時間で幕を閉じた。








「身体強化は使わない。」



アレスの考えた作戦は大胆かつ、危険な橋だった。


「正確には身体強化を敵に向かって使う。ただしタイミングをずらしてな。」



「どういうことだ?」



「ジャミングだ。二十人が同じ魔術をわずか数センチ間隔で使用している。おそらく相手は魔術の行使までを磨いてくるだろう。そこに水を差す。」




魔術において、余計な情報は結果に対して悪くしか影響しない。


綱引きという状況は魔術の行使においてかなり最悪の環境だ。


周りには他人の行使する術式が散乱しており、かなりの集中を要する。


そこに適当に編まれた身体強化の術式が混ざってきたら…




「当然破綻する。」


クラスメイトたちは頷く。


「ただし弱点もある。俺たちがジャミングを行使できるのは一回。相手の2回目の発動までに勝負を決めなければならない。」



一度作戦がバレれば、タイミングをずらすなりで対応できてしまう。





「だからこその特訓。これは賭けではない。俺たちの特訓次第でどうとでもなる。」








「うおおおおお!!」


特別編成クラスが雄叫びを上げる。



「アレス君、まさかこんな策で仕掛けてくるとは…だが次はそうはいかないんじゃないかな?」



シュラウドはそうアレスに問いかける。



「勿論だ。策はある。」


そうニヤリと笑ったのだった。








「みんな、さっきのは見たな?半分、いや4分の1ずつ身体強化を使うんだ!そうすればジャミングも問題ない。一度発動させればこっちの勝ちだ!」


ランゲルは作戦を伝え修練場に出る。




「さっきみたいにはいかないぜ?」



目の前に立つアレスを睨み、そう呟く。



「そうか。」




はじめの合図がなり、両クラスとも立ち上がる。


ランゲルは後ろを向き叫ぶ。


「作戦通りだ!引けぇぇぇ!!」



第2クラスが勢いよく後ろに体重をかけ、縄を引く。



その瞬間、ランゲルは奇妙な光景とともに、後ろに倒れこむ感覚を感じた。



「は?」





特別編成クラスは手から縄を話していた。


勝負は決した。






「綱引きは捨てるつもりだ。正確にはどこにも点は取らせない。」



アレスは三クラスという点を利用し、一試合目は引き分けに持ち込む作戦を選んだ。



「この競技には俺たちに確実に勝てる作戦は一つしかない。配点が低くいこの競技に練習を割くのは時間の無駄だ。」



単純ゆえの問題。

どれだけ特訓しても、勝てるかどうかは自分次第という点。



「一試合目に負けた方を勝たせる。逆にさっきの作戦で一試合目に勝った方は負けてもらおう。」









「テメェ!何のつもりだ!」



ランゲルはアレスに食いつく。



「何のつもり?作戦だ。これで全クラス引き分けだ。よかったな?」



「ふざけんな!堂々と勝負しろ!」


「したさ。一試合で策を失ったから、二試合目は放棄する。これも作戦さ。」


あっけらかんといってのけるアレスにランゲルは納得いかないという顔で睨みつける。



「安心しろよランゲル。次の試合からはこんなことはもうない。お前のお望み通り、正々堂々倒してやる。」



「上等だ。やってみろよ!」










「アレスは貴様に似てきたな。あの煽るとかのニヤつき具合、貴様にそっくりだ。」



「俺ってあんなにイケメンなのか?嬉しいね〜。」


アレスは顔だけはいいからな。


だから時々無性に殴りたくなるんだけどね。


「まさか一試合目から捨ててくるとはな。」


一試合目は得点が低く、必勝となる要素が少ない。

時間を割くのは非効率的だということはよく分かる。


「俺的には80点だな。ジャミングの練度をもう少しあげれば2、いや3回までなら妨害しつつ縄を引ける。」



それくらいの時間はあっただろうに。

アレスは一度なにかを決めると、1かゼロでものを見るからな〜。



「ま、俺が楽しみなのはこの次だよ。」


「第2種目、百人斬り競争を始めます。参加する生徒は集まってください。」








レッド、シンカー、ソラウス、クラリス、ハイラは入場ゲートの前に集まった。



「くじを引いてきた。俺たちは最後だ。」


シンカーが番号の書かれた木札を見せる。


「ならあの作戦も使えるな。」


「あぁ。」


ソラウスがそう呟き、レッドが頷く。




第2種目、百人斬り競争が始まった。






「クッソ!」


第一クラスの結果は150点中142点。


クリアタイムは満点なものの、最後列のゴーレムを倒しきれなく、諦めたためだ。



「最後の10体おかしいだろ!軽い抵抗ってレベルじゃないぞ!?」


「まぁまぁ高得点だったんだし、良かったじゃん。とりあえず第2は抜けたよ」


第2クラスの得点は139点。

僅差で負けてしまっている。


「次は特別編成か。見ものだな。」



「たしかに。一試合目であんな奇策を取ってきたんだ。楽しみだぜ。」







レッドは息を吸い込み、深呼吸をする。



頬を二回叩いて、きんちょうをほぐし…




「行ってみようか。」








「第三試合、特別編成クラス。競技…」


「開始!!」



掛け声とともに、歓声が上がる。


五人は揃って右足を前に出して…






「「「「「身体強化」」」」」





五人の身体に光がまとわりつく。

白く光るその光景に、周りは唖然と口を開く。





五人は魔術を発動した。



ブクマ、評価よろしくお願いします。

誤字報告は本当に助かってます!未熟で申し訳ないです。_:(´ཀ`」 ∠):

感想、レビューもじゃんじゃお願いします!!

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