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「俺はヴォルト、ハッジ村のヴォルトだ。君は?」

「フィリアです!わたしフィリアっていいます!歳は16で趣味は探検でえっととにかく貴方は命の恩人ですっ是非お礼がしたいのでわたしの家までき、来てくれませんか!」


フィリアの剣幕に圧倒されつつ、魔力を使い果たし緊張の連続で疲れきった体を休ませたい事もあり、彼女の申し出を受けることにした。


森を抜けすっかり日が落ちる頃彼女の家に到着した。

「これは、すごいな・・・」

こんな田舎でやけに身なりが良いとは思っていたが、予感は的中していたようだ。

彼女が俺の生まれたハッジ村とその近隣を治める領主の娘であることは、周りの景色と不釣り合いな館が示している。

「さあヴォルトさん入ってください!お父様に紹介するからっ」

フィリアに手を引かれながら俺はあまりに場違いな館へ踏み込んだ。

フィリアが扉を開けたその時・・・

「「「お帰りなさいませフィリアお嬢様」」」

メイド、剣と魔法の世界ではお馴染みであるが本物をこの目で見るのは初めてであった。

するとそこにメイド達の間を抜けて実に裕福そうな男が現れる。

「フィリアよ、こんな時間まで何処に行っていた其の男は何者だ」

静かに、それでいて地を這うような声が俺を歓迎していないことを如実に語っている。

「彼はヴォルトさん、わたしの命の恩人です!そんな恐い顔しないで!」

「なに?それはどう言うことだ」


フィリアは森での出来事を領主に語り始める、その間俺は客室へ通され出された茶を啜っていた。


ほどなくして客室の扉が開くと、最初の鬼瓦のような顔からうって変わって穏やかな表情となった領主がいた。

どうやら誤解は解けたらしい、と言うのも今の俺はお世辞にも身なりか良いとは言えない、泥のついた靴に裾のほつれた服、傷んだ防具に肩まで伸びた髪・・・ 一見すると放浪者か野盗と言ったところだろう。

そんな男と大事な娘が一緒に居ては心穏やかで居ることなど出来ないことは容易に想像がつく。

「ヴォルト殿、森での事は娘から聞きました、娘の命を救っていただき感謝の言葉が尽きません、今夜はどうか泊まっていってくだされ」

「ありがとうございます、領主様」

<ガチャン>

「お父様!どうだった??ヴォルトさん泊まってくて?」

勢いよく扉を開けドレスに着替えたフィリアが客室へ入ってきた。

「んおっおう、風呂に入ってもらったあと食事にするつもりだが・・・どうしたんだそんなに着飾って」

「えっあ・・・これは」

領主の言葉でフィリアが一瞬こちらを見たあと、また部屋へと戻っていった。


それからの時間は、まるで夢のようであった。


食事を終えてふかふかのベッドに横になる、今にも眠りに落ちそうになる中で食事の時の領主の言葉を思い出していた。

「ヴォルト殿はとても珍しい魔法を使うとフィリアから聞きました、わがままを言うようですが、是非わたしも拝見したい・・・」

領主からの頼みを無下出来るはずもなく、明日の朝、館のダンスホールにて披露する運びとなった。


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