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第2話 「突入」

「…で なぜ俺はこんな早朝からお前の家に来ないといけなかったのか説明してもらおうか」


苛立つ佐々木。現在時刻は午前3時である。


「真星村はとにかく遠い。高速を駆使しても着くのは夕方ごろだ」


坂本も眠そうに目をこすりながら言う。


今この場にいるのは6名。佐々木聖夜、坂本桜華、関根秋人、道坂剣人、氷室環奈、小野寺学人、今回真星村に突撃する5名と近隣の自治体の旅館で待機するガクトである。


「まずは真星村との境目にある旅館を目指す。そこでガクトを下し以後彼にはサポートに徹してもらう。皆ガクトは今後サポート役として俺たちのサポートをしてもらうことになるから彼とは連絡先を交換しておいてくれ」


坂本の発声を合図に次々とスマホをフルフルする佐々木たち。


「…必ず至高神真神の嘘を暴こうな」


坂本は小さな声でまるで自分を鼓舞するかのように呟く。内心佐々木も同じ気持ちであった。


…そして佐々木たちは高速道路や下道を経由して最初の目的地の旅館に向かう。


数時間後…


「みなここが旅館にたどり着くまでの最後のコンビニとなる。各自食料やお手洗いを済ませるように」


「待て待て坂本 まだ13時だぞ ここが最後のコンビニって冗談だろ!?」


「佐々木…俺たちがこれから向かうところはそれほどの田舎ってことさ」


どこか遠い目をした坂本が言う。


(そういえばコイツ朝三時からずっとここまで運転しっぱなしだな 途中何度かサービスエリアで休憩はしていたが、まあこいつの車だし言い出しっぺはコイツなわけだから運転するのは当然だが、さすがにこの後の運転は俺が変わるか…)


「さ、みな車を降りるんだ」


そうして各自買い物やトイレ休憩を済ます。


「さーてではここからは旅館へ直行だ」


「待て坂本、俺が運転を変わってやろう」


佐々木の申し出に少し驚いたような顔をする坂本。


「…ありがとな みんなにコーラを買ってきた!俺の奢りだ!あっ氷室さんにはアイスティーを買ってきたので…」


そうして佐々木はコーラを飲みながら車を発進させた。


…10分後


「だーっ!疲れた!!坂本運転変わってくれ!!」


車を運転するのは二年前に免許を取得した時以来だが、車の運転というのはこうもストレスがたまるものだったか。


佐々木は助手席に座る坂本を見つめる。


「…」


何やらスマホを見つめている坂本。


「おい坂本!運転変われって」


「!!…ああすまない 少し真剣にスマホを弄っていた」


と、後ろの席に座っていた関根が前に前方の座席に乗り出してくる。


「待て佐々木、坂本は疲れているだろうし旅館までは俺が運転しよう」


「おっ…おう じゃあ頼むわ」


関根の申し出に素直に応じる佐々木。はっきり言って自分が運転するのでなければ何でもいいというわけだ。


午後15時30分


一行は最初の目的地の旅館にたどり着く。


一行はガクトを下し真星村へ向かう。


「しかしあのガクトって奴随分と大荷物だったな」


佐々木のボヤキに坂本が反応する。


「彼は今回サポート役だからな PCなどの機材で荷物が多くなったのだろう…おっ着いたぞここが真星村だ」


「…何というか宗教村だから信者以外通さないというかそんなイメージで来ていたんだが案外あっさり村の中に入れたな」


佐々木の問いかけにうむと応じる坂本。


「うむ、確かに想定外の出来事ではある だが手間が省けたと思えばそれもいい」


「…で?これからどうするんだ」


「真星村には真星革命学会の総本山となる御殿がある 学会員からは真神御殿と呼ばれる施設だ ほら前方にこんな田舎には不自然なほど巨大な建物があるだろう?」


前方数キロ先に確かに巨大な施設が見える。あれが敵の親玉がいる場所か…。


「施設の中へはどうやって入る?」


「うむ、その方法だが、はっきり言って正面から入っても構わないと思う。御殿は意外なことに学会員であればいつでも見学可能らしい。所謂特別学会員はみなあそこの施設に住んでいるわけだから24時間営業のホテルみたいなものだ、もちろん立ち入り禁止のエリアもあるが、少なくとも侵入に困ることはないだろう」


「しかし坂本よ、俺たちは学会員ではない。身分を証明できない以上門前払いを食らうのではないか?」


坂本の提案に疑問を投げかけたのは剣道全国一位の関根。佐々木も同意見だった。さすがに高等で学会員だと言えば通されるほどのザル警備でもあるまいに。


「無論手は打ってある。みなこれを…」


坂本は各人にカードを手渡す。


「…これは!」


それは学会員を証明する身分証の偽装品だった。しかしいったいどうやって…


「うちの学部に学会員がいてな、彼からひっそりと身分証を拝借してガクトに作ってもらった」


「マジか…ガクトそんなことまで出来るのかよ…」


ガクトの有能さに素直に感心する佐々木。


「ガクトはITのスペシャリストだからな…ともかくこれで御殿に入れる ほら着いたぞ」


そうして佐々木たちは御殿に立つ門番に何一つ怪しまれることなく侵入に成功した。


(とにかくこれで御殿に侵入した 待っていろ至高神真神!)


佐々木たちはエントランスに向かう。


…警備室には一人の男が立っていた。長身の眼鏡をかけたスマートな男で肩には蛇が載っている。


「おやおや、ネズミが数匹侵入したみたいだな。くっくっくっこの私スネイクが直々に処分してやろうか」


男は監視モニター以外光源のない薄暗い警備室で一人ニヤリと笑みを浮かべた。


…第3話へ続く





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