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Color Blindness 〜夢見る20代〜  作者: アーサー・リュウ
5/7

本当の気持ちは?

人生には色々な事があります。

ポンプ隊での経験を書こうかなと思いましたが、

あまりパッと印象に残る現場は実は救急隊時代ばかりだったのでまた別の機会で書いてみようと思います。


それだけ、今の消防は火災よりも救急の方が出動件数が多いという感じです。


「本当は警察官のなりたかったんですよ〜」


というのは、話のネタの常套句になっていた。

初対面の人とでもそうすればインパクを与えられるからだ。


「色覚異常がありまして諦めざる負えなかった。今は火災原因調査員に興味がありまして...」



上司にはそう言っていたが、

本当に思っている深層意識はどうやら違っていたように思える日々が続いた。



「お前またか!」



貴乃はそう言われ続ける日々が多くなった。

自分にはもうポンプ隊は嫌だと思い始めるのに時間は掛からなかった。


毎日頑張って色々覚えようにも、

自信を失い分かっていても、言葉を詰まらせる。そしてまた色々と言われる。


暗記をするも肝心な時にでない。

自分自身何を今しているかすら分からなかったーーー


消防士の基礎であるポンプ隊の仕事と雑用を覚えようとはしない。だけど努力はしてる。

そう上司からはきっと評価されていたのだと思う。


だから、毎日

『お前これじゃ調査なんて無理だ。楽なポンプの仕事もできないのに』

と言われる。



毎日毎日、

あれやこれと日々が過ぎていく。


パンクして今にもエンストしそうな自分に鞭打ってでも動かし続けた。

心の奥ではきっと悲鳴をあげてたのだと思う。


毎日非番の日は寝る。

起きて夕方で寝る。

起きれば仕事。


家に帰った途端に電源が切れたかのように何もやる気が起こらなくなっていた。

ウキウキする社会人一年目とはかけ離れた生活が続いた。



貴乃はふと感じた。

「このまま、定年までやってけるわけがない....」

でもどうしよう。


ない気力を振り絞って、求人サイトを当たってみる。

何をしたいのか?よくわからない。


でも、

誰かのために何かを守るという仕事はし続けたい。


大学時代に少しときめいた、最大手の警備会社を受ける。


「それで安定した公務員を辞めてまで、将来的にどうしたいの?」


面接官の言葉に言葉を詰まらせた。


だけど、何がしたい?


思い返してみれば...



市民の近くにいる駐在さんを思い浮かべる。


警察官?無理無理。

だって色覚異常があるんだもん。



じゃあ、今のまま?ーーー



そう思った瞬間、

通勤途中の駅のホームから一歩踏み出しそうになっていた。


おっと死ぬのはいけない。

踏みとどまって消防署に向かう。



人事異動が発令されることもなった。

4月からまた頑張ろうと思うことにした。


でも、自信なんてどこにもなかったーーー



辞令

消防士 桐嶋 貴乃

警防第2課N分署救急係勤務を命ずる。



貴乃は辞令書を見て目を丸くした。

ある意味で人生の分岐点であることを貴乃はわかるはずもなかった。


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