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Color Blindness 〜夢見る20代〜  作者: アーサー・リュウ
3/7

消防学校!!“初日の初日”


「いいか!消防の挨拶をおしえてやる!」


消防学校第一声の洗礼はそう言う言葉だった。絵に描いた鬼教官を目の前に桐島は直立不動の気をつけの状態だ。


「おはようごいます!!!!」


教官の唾が顔にかかるがそんなのお構えなし、桐島も大声で同じように返す。


「おはよございます!!!」


ちなみにだが、すでにスーツ姿で、声を貼りながら腕立て伏せをさせられている同期生たちもいる。


「よし行け!3歩以上はダッシュだ!!!!」


「分かりました!」


「声が小さい。やり直し!!」



消防学校での初日はとてつもなく騒がしい。声が小さいという罰の腕立て伏せ20回を終わらせて、寮内に入った。

一応、あとで知った話なのだが屋内では3歩ダッシュルールは無くていいようだった。だがしかし、元の挨拶で時間を取っている。10分後には教室に集合という鬼のようにキツキツのスケジュールが組まれている。


教官らはお構えなしに色々、理由をつけて止めては怒号と腕立て伏せの命令をひたすらし続けていた。


消防士に拝命されたらまずしないと行けないことがある。それは服務の宣誓だ。

肘をまっすぐ伸ばし宣誓の書かれた紙を手に持って大声で書かれていることを読み上げた。


ーーー私は、日本国憲法及び法律を尊重し、

命令、条例、規則及び規定を忠実に遵守し、

消防の目的及び任務を深く自覚し、

その規約が消防職務に優先して従うことを要求する団体又は組織に加入せず、

全体の奉仕者として誠実かつ公正に消防職務の遂行にあたることを固く誓いますーーーー



消防の任務は消防法と消防組織法にきちんと明記されている。消防法第1条で


火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害に因る被害を軽減し、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資すること。

要するに人を災害から救い、助けるという仕事だ。


宣誓書に署名をし印鑑を押す。がここでも鬼のごとく怒号が飛ぶ。


「印鑑が歪んでる!!他いないか?いないのか!?」


そう、印鑑の歪みを見つけた教官は周りにそう言った。


恐る恐る手をあげる人がちらほらいる。するとこう言葉が飛んできた。


「全員起立!!!腕立て伏せ用意!!!!」


何回させられるかわからないという恐怖もあるが、腕立て伏せをカウントする声の中で教官の怒号と教育が始まった。


「お前らは仮にも消防士だ!一人の失敗でどうなると思う?現場でミスをしてみろ、要救助者や傷病者がどうなると思う、彼らを守ることもできないし信頼も得られない!

ミスがあると、要救助者どころかお前らも同僚も死ぬ可能性がでるんだぞ!

たかが印鑑一つでも、小さいところからミスは生まれる現場にも繋がるだがら真剣にしろ!

いいな!!!やめ!!!」


熱い言葉は胸に刺さる。

確かにそうだ、警察官を目指していた頃にも色々調べて知っていたが、現場では失敗は自分の身を守ることも守りたい人も守れないという話があった。


そんな事で初日で腕立て伏せを通算で200回近く行ったわけだ、社会人初日にはなかなか厳しいと思うばかりだ、空手はしていたが運動不足が少しばかり響いたのか夜になる頃にはすでに筋肉痛だった。


消防学校では高卒大卒関係なく6ヶ月一緒になって、訓練を行う。初任教育は約40人の一個小隊で訓練や教養を行う、もっと細分化した6〜7人単位の班という同じ部屋で過ごす最小の部隊編成もある。

班の仲間は、7人だ。

7人とも教官の怒号と腕立て伏せに詰め詰めのスケジュールで初日はボロボロになっていた。


桐島は第二小隊15班という所属だった。第二小隊は歴代この消防学校内では有名だった“鬼の第二小隊”と噂されていた離職者が一番多い部隊だという話らしい。理由は簡単だ、あの朝に第一声の怒号を浴びせた絵に描いた鬼教官である赤井教官が担当を務めているからだ。


第二小隊は珍しく自衛隊出身がいなかった、どちらかといえば新卒ばかり集められた感じの部隊だった。第一小隊は自衛隊出身が4人ほどいたり、慣れた感じで初日を乗り切っているように感じられた。


消防学校には色々な経歴を持った人がいた。

新卒でストレートで憧れの消防士に慣れた人や保険屋をしていたが安定を求めてやってきた人、商社マンだったが消防士への夢を諦めきれないできた人、3年の浪人生活を経てやっと慣れた人、フリーターから一念発起でやってきた人、元海上保安官の人、元高校球児などなど。

色々な人が集まった、4個小隊の170人が同じ宿舎で寝泊りをして一人前の消防士になるために訓練や教養を受ける。


夜に小隊で集まることになり、消灯1時間前に教室に集合させられた。

何が始まるのかと思うと、第二小隊の所属教官である仏の河本教官は、ある映像を見せてた。


その映像は、果敢に日に立ち向かう消防の現場のニュース番組の映像やアメリカの消防士のウェアラブルカメラで撮られた動画だった。


壮絶な現場が、映像の中では繰り広げられていた。


「いいか、体力だけじゃだめだ。きちんとした技術もつけろ、そして見てわかるだろがチームワーク。

水を出すにもノズルマンだけじゃ水は出せない、機関員もいる、指揮をとる隊長もいる。一つでもかけると成り立たない。これがポンプ隊だ。

君たちはきっと、ほとんどがまずはじめにポンプ隊だと思う...

チームワークと技術に体力どれも重要だ。

困っていればみんなで助ける、置いていかないいいな?」


「はい!!」


大きな声を聞いて、河本教官は静かにするようにジェスチャーをした。


「ここ住宅街だから夜は静かにしてね」


その教官の言葉と同時に就寝ラッパの放送が流れた。


こうして、桐島の消防学校生活がスタートした。


次回は、ちょっと日にちが経った消防学校の灼熱の夏の訓練を書いてみようと思います。


次回もよろしくお願いします。

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