表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Color Blindness 〜夢見る20代〜  作者: アーサー・リュウ
2/7

進路変更

結果を受け止める努力をした。

でも、

今まで大切にしていた思いはそう簡単にに手放せない。

手放したつもりでもそうではない。




桐島高乃にとっては進路変更は苦渋の決断だった。



第2志望の地元県警も、最終まで選考が進んで結果を待ったが警視庁と同じ通知書がやってきた。

2回目はもうすでに諦めも入っていた気がしていた。


いくら探しても探しても、パネルd-15がfailで受かったという話はないし、色覚異常じゃ警察官は無理だとひたすら誰かから耳ものとで言われ続けている状況だった。


警察官になれない=今までの自分を全否定

そういう考えまでになっていた。


夏が終わって秋に入り始めるころ

周りの警察官志望だった友人達からはいい話が聞こえ始めた。

もちろん、落ちた人もいた。



ちらほらと無理だったからもう一度という声も聞こえるし、諦めて民間に進路変更というのも多く聞いた。


就活を一発で決めないと、親に迷惑がかかる。そして何より、浪人を続けた先は大学生の彼には色々なイメージがあった。


メディアや周りの話からの推測でしかなかったが桐島自身にとってはそれは望まない人生であったのは確かだ。


新卒ブランドそれがなくなれば、社会の普通のレールから逸脱して二度と修正ができない....

契約社員、非正規雇用、フリーター、ブラック企業.....そう感じ取れた。

公務員浪人をして、果たして年を食ったキャリアを積んでもない自分を採用するだろうか?


周りからは

「もう一度、頑張ったら?」

と声を多くかけられたが、もう再起できないぐらい心は失速していた。

それもそうだ、全否定をされているからだ。


色覚異常は遺伝子的なもので治療はない。ということはいくら受け続けてもそれはただの無駄なのでは?


続けてずっと続けば、

惨めな生活を送り、ろくな仕事にもつけないで社会のレールから外れゴミのようになるのだろうか、それは桐島自身も望んでないったし、両親もきっと望まない。


だから、浪人はできない。

そう感じた桐島は悔しいながらも、進路変更をする事にした。

心残りはあった。そのことが、就活を周りから成功したように見える形で終えたが。

自身の心の中に大きなシコリとして残る事になった。


たまたま、

大学の就職課に置いてあった消防士の採用試験募集の案内を手に取った。


就活の難易度で言えば、警察官になるより消防士になる方が難易度はかなり高い。

なんせ、採用人数は少ないからだ。


今更、分野の違う人の役に立つ仕事はと感じたが。

後先をふと考えてみた。

この仕事もきっと人の笑顔を守れる仕事に違いない。形は違うが受けてみよう。

どうせ、ダメなんだしやってみるだけやってみるか。


そんな気持ちで、望んだ試験は見事に合格と採用通知書が家に届いた。


採用通知書を見て思ったのはふと安心した。

これで未来はどうにかなるだろう。形は違うけど自分の望む仕事につけた。

そして何より、新卒のレールのままで社会人になれることができたという安堵感があった。


一応だが、警視庁の三次試験を受けに再度上京したが。


「もー受けても通らないし、消防士として生きて行こう。諦めていいじゃん」


そう呟いて、警視庁警察学校の門の前で回れ右をした。



さてさて、

時は流れて4月になった。


就職に成功して消防士。所謂、公務員になったから安泰だし、そこであとは定年退職までただ時間を待つだけとはいかない。


人生の問題はそう簡単に終わるものでもなかったし、

自分が積み上げてきたものもそう簡単には捨てることはできなかった。

それがある意味その後の人生に対して大きな問題となってしまったのは次回のお話で。

消防学校の門を通った。

消防士の卵は心身共に消防士になれるだろうか?


心の中に残ったものは多い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ