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Color Blindness 〜夢見る20代〜  作者: アーサー・リュウ
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夢は警視庁警察官

色覚異常をテーマに等身大の92年生代の物語です。割合は言いませんがノンフィクションも入ってる作品です。


色覚異常で悩んで人の為に、誰かを守りたいと思ってる人の読んでもらえればと思います。


では、シリーズ物で少し雑に書いてると思いますが、最後まで楽しんでいってください。


人生は一度っきり、迷うのは当たり前。

2014年 夏某日 東京都 府中市 某ホテル内


大学生になって、就職という今までに見ない人生のなんかに立ち向かっていた。

友人達は数百社受けて全て滑っていた人もいれば運良く内定をもらっていた友人もいたり、人生に悲観し始めている友人もいた。


この物語の主人公である彼は特に焦ってはいなかった。

何故なら彼には大きな決意と固い意志を持っていたからだ。それは...


“みんなの笑顔を守る、その場所を守る、困っている人を助ける、その為に警察官になる”と決めていたからだ。


警察官など公務員はどちらかといえば、就職活動では遅い内定をもらうところだった。友人の中には早々と企業から内定をもらい人生最後と呼ばれる夏休み期間を過ごしていた。


彼は、ホテルの中で自分の意志を再確認する為に何度か読んでいた2011年に起こった東日本大地震の現場で活動した警察官達の手記をまとめた本を読んでいた。



2011年それは起こった。

その時、彼は高校卒業後まも無い大学に入学まちのなんとも言えない身分の18歳の少年だった。


教習所で自動車運転免許を取りに行くために一日中空き待ちで何もすることなく待っていた。


少年の名前は、桐島 貴乃。

みんなの笑顔を守りたいそのために警察官を志す少年だった。


テレビから流れてくる連日のニュースを見て、

「自分もこの場に行って。人を助けたい。助けるだけじゃダメだ」


そんなことを思いながら、モニターから流れてくる非現実の目を向けていた。


現場活動を行なった警察官達は色々な活動をしていた。固い心と意志をもって市民のために戦った。

そういうことを思いながら涙しながら明日の警視庁の最終面接に備えた。


「俺はこの人達のようになる!」


ホテルの中でそうおもわず声を出した。




翌朝、

京王線で揺られながら、飛田給駅で降りてゆっくりと歩みを進め、二度目になる警視庁警察学校の門を潜った。


イメージは完璧だった。

浅草寺前にある交番に防刃チョッキを着て笑顔で市民に対応している姿や、悪い奴を捕まえて諭している。自身が目指す地域警察官の姿がどことなく写ってた。


面接会場は緊張に包まれる、柔道場で行われるパーテンションだで区切られたいくつものブースが並んでいる。大学三年生の時に初めて見た企業説明会のようにも感じられた。


彼の名前と番号が呼ばれて、桐島は気合十分に緊張もなく駆け足で向かった。


面接では自身の想いの全てを言い切れた。

緊張することもない、よくあるテンプレートを最初に言いはしたが終始自分の言葉で説明をした。


秋葉原の連続殺人事件で自身が感じたこと、ストーカー殺人に被害にあった人の気持ちを汲み取り思ったことそして、イメージした通り市民に近く一番最前線の地域警察官になりたいことを伝えた。


一歩目前に夢が進んだーーーー


「オリンピック一緒に頑張ろう!」


その桐島の熱い想いを汲み取ってた面接官はそう声を掛けて面接は終わった。



嬉しかった。

また、こも警察学校の門をくぐって、自身が警察官の制服に袖を通して厳しいくも夢のある訓練や勉強の日々があると感じられた。


帰りの新幹線の中では、定番とまで思っていたビールを買って自由席に座って故郷に帰って吉報を待つことにした。



だけど、

警視庁の封筒が届いて、身体検査の再検査があるので病院受診の依頼がやってきた。


その内容は色覚検査だった。

気になった、桐島は調べに調べた。


ネットには色々な情報が点在していたが一つわかったことは

“パネルd-15をPassできれば問題ない”とのことだった。


そのパネルd-15もただ単に色を順番に並び替えるという誰でも出来るという代物だった。


ーなんだ、運転免許も取れてるし、白黒に世界がなってるわけでもないし大丈夫だ。俺は警察官になれるー


そんな、ポジティブな思いで自宅近くの眼科に検査を受けに行った。


水玉模様の数字を読む石原式というのは諦めきってる。これは少々の異常でも弾き飛ばすという学説があったから、仕方がないと思って堂々と胸を張って終わらせた。


そして、ついに最終試験がやってきた。

これが出来れば問題ない。

簡単だろう。


でも、帰ってきた結果はこうだ。

“残念ながら、Failです”


「え、ちょっと待ってくださいよ。そんな...」


桐島にとって人生で一番ショックを受けた。悲しすぎて泣くにも涙もなかった。ただ無気力になりながら、自宅に帰った。

まだ、わからない。もしかしたら合格する可能性だってある。

そう感じて、諦めないで診断結果を封筒に入れて警視庁採用センターへ返送した。


返送して家に戻る頃にはやっと涙が溢れ始めた。

思えば、今までの人生のほとんどを警察官になるためにキャリアを積んできた。


中学校に上がってからは武道をやれば警察官の道も近いということで空手を始め、気がつけば段位を取ってたし、大学に入ってからは警察官で使うであろう法律を学ぶために法学部に進み刑事訴訟法と警察官職務執行法を楽しみながら学び、サークルを立ち上げてリーダーシップを発揮しながら空手をしていた。


無意識であったが、自分の警察官としてのキャリアの下地のためを思って行動していたように感じられた。


それが一瞬のことで、崩れ去った。

たった、並び替えが出来ないだけで...



数ヶ月後

警視庁採用センターからの封筒が自宅に届いた。

桐島は薄い封筒を手にとって、ほとんど諦めが入っていたが、薄っすらとした希望に最後までしがみつこうと決めていた。


だが、

現実というのはとてもじゃないがあまりにも残酷だった。

今で温めて作り上げてきた十数年来の想いは一気に崩れ落ちた。


落胆し膝を落とし何も言えなかったーーー


不採用通知、中の紙にはそう書かれてあった。




続く

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