序章
薄暗い路地裏。そこを駆ける何かと二つの人影。
「先輩、もう夜もだいぶ遅い時間ですしさっさとあいつ片付けちゃいましょうよ。私嫌ですからね、今日徹夜して明日の授業受けるの」
「私だって嫌よ、そんなの。それに、もう少し早くひかりさんが合流してくれれば、逃げられることもなかったんじゃないかしら」
「それはそうですけど……」
二つの人影は会話しながらそのよくわからないものを追う。
「だったら諦めて目先のものごとに集中しなさい」
行き着いた先は行き止まり。正体不明の生物は退路を塞がれた形となった。
「さ、これで仕留めるわよ」
先輩と呼ばれた方の少女が右手を正面にかざす。すると先程まで何もなかった空間に棒状のものが現れた。
杖、であろうか。ロールプレイングゲームなどのグラフィックに使用されていてもおかしくはないような形状の代物だ。
それを勢いよく掴み、そしてそれを振るう。たちまち謎の生物の周りに幾何学模様が描かれた円が現れた。
ほのかに光る魔法陣の光がその生物を包みこんだそのとき、彼女は叫んだ。
「Schneesturm!」
刹那、その名状しがたいものは氷に覆われて動かなくなる。
「ふう、これでひと段落ね」
「先輩だけですよー、そんな技名を叫んでいるのは。厨二病患者か何かですか?」
「失礼ね。言葉にすると技のイメージがしやすいんだからいいじゃない」
さてと、そう先輩は呟いてから辺りを見渡した。
まるでスケートリンクのように美しい氷の上に、二人の姿が月明かりで反射している。
「……先輩、毎度毎度思うんですけど〝エフィアルティス〟でしたっけ? まあ、あれを倒すたびに辺り一面を氷漬けにするのは如何なものかと?」
「私だって一応気を付けてるわよ。下手に加減忘れると足元まで凍って身動きが取れなくなるもの」
そういって二人の視線は自分たちの足元へと注がれる。
「それでですね、先輩?」
「なに、ひかりさん?」
「技をイメージすることはいいことですけど、なんで私たちの足まで凍ってるんですか?」
その問いに答えるのは、ビル風以外には何もなかった。
小説を書くのって久しぶりだし何を書いていいかわからないけどとりあえず初めまして、falsteroです。もともとこっちは登録しただけでほとんど動かしてなかったのでこっちでも一本書いてみました。
小説を書くにあたって未消化のプロット(と書きかけの文章)を適当に眺めていたら頭のおかしいものが転がっていたのでこれを使おうと思いました。発見したWordファイルの更新日時が2016/9/19 00:20だったりしますがなんとかなるでしょう。とりあえずは九万字ほどを目安に書き上げられるように頑張ってみます。