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香風  作者: 春 周沙
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後編

私は部屋のソファーに深くもたれかかり、昨日の出来事を何度も想い返していた。


自分の中に不思議な感情が芽生えてた。


でも・・・

お客様の奥様とこのような関係になるなんて・・・。しかも不倫関係なんていい訳がない。


思いを打ち消そうとすればするほど、高まってきてどうしようもない。

長いキスが何度も何度も蘇ってくる。


それから1週間後、私は彼女を私のマンションに招くことになる。



初めての不倫・・・

でもそんなことはもう考える余地さえなかった。


彼女を部屋に招き入れ、少し話した。


車が納車されてしまえばもうあなたと会う機会も無くなってしまうんだな・・・

そう思うとなぜか急に私の事が気になり出したと言う。


そしていてもたっても居られず、電話をしてしまったらしい。

普通では考えられない、でも電話をせずにいられなくなった。

理屈じゃない彼女の言葉に耳を傾けていた。


後はもう言葉は要らなかった。


重ねあった唇。。

少し開いた胸元へとゆっくり顔を埋めていく。


嗚呼・・

彼女の吐息が切なくも熱くそして悦びへと変わっていく。

白くスラリと伸びた足をそっと開き・・


夢中で抱いた。


まだそこには愛は存在してなかったのかも知れない。

欲望のまま、そして彼女に求められるままに。


いけない恋だと自覚すればするほどそのスリルを味わいながら彼女を抱いた。



こうして私は彼女に溺れていくことになる。


平日が休日の私と彼女の自由になる昼間の時間がぴったり合い、毎週私の休日には彼女との情事を楽しむ生活が始まりました。



どう見てもこんな恋愛なんてしなさそうな彼女がどうして私を誘ってきたのか・・・


別にご主人や家庭に不満を持ってるわけではない。

ありきたりの幸せに不服を言うタイプでもない。


ただ・・あるとき彼女が言った。

私、このまま終わっちゃうのかな・・って思ったって。


真面目で経済的にも問題ない公務員のご主人との結婚生活。

それは自分が想い描いてた愛が満ち溢れた生活とはかけ離れたものだった。

他人からすれば、とんでもない贅沢者かも知れない。

でも、夫婦の内情は本人しか分かり得ないもの。

誰にも話せないその感情を彼女は私にぶつけたかったのかも知れません。


そんな彼女の気持ちは今でこそ理解できるが、当時の私にはいまいちピンと来なかった。

ただただ彼女の体に溺れていった。



こんな関係が2年ほど続き、将来への夢も持ち始めた頃、

少しずつ彼女と連絡が取りにくくなっていった。


どうもご主人に少し怪しまれてるような感じ。

それに子供たちが、何か分からない不安に敏感になってる。

彼女が私の所へ出かけようとすれば、急に熱を出したり具合が悪くなったり。

この頃から少しずつ彼女がこの関係を負担に感じ始めたようです。


まだ若かった私にはそこまで大きく彼女を包み込んであげることができなかった。

ただ、会えない寂しさから飲み歩く日が増えていった。



今のようにメールもないし、彼女となかなか会えない日が続いたけれど、私はそれでもよかった。

会えるときだけでもいいから今の関係を続けていきたかった。


だけど彼女は違っていた。

年上ということもあり、自分が線引きをしなければ将来のある身の私を更に狂わせてしまう。

そんな思いもあったんでしょうね。


もう終りにしましょう。


それは私にとって到底納得できない言葉でした。


*完結編へ続く

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