◆声優を辞めるくらいなら
◆声優を辞めるくらいなら
「さぁ、先生には、きちんと説明出来るわよね?」
久ちゃんの目は、あたしに真っ直ぐに向けられていて、誤魔化しは効きそうにない。
あたしは観念して正直に話すことにした。
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「細川さんが声優のお仕事をしていたのは分かりましたけれど、そういう場合はご父兄の承諾が必要です。 それに、もし止むを得ずにお仕事を優先しなければならない場合があった時も届出が必要なんですよ」
あたしが通っている、この有名私立高校は単位制でもあり、生徒のアルバイトなどにも寛大である。
現に同学年の何人かの女の子は、ファッションモデルやタレントとして活躍している。
「で、でも・・パパやママは声優なんて絶対に許してくれないし・・」
あたしは、ボソボソと下を向いたまま呟くように久ちゃんに訴える。
「細川さんは、まだ高校生なのだし自分だけで決めても良い事といけない事ぐらいは、分かっていますよね?」
『うぅっ・・久ちゃんは正論で攻めて来る気だな』
「は、はい・・」
ここは下手に反論しない方がよいだろう。
「細川さんが成績優秀なのは分かっていますし、非行などに走る子でないのも十分承知しています」
「今回のことは細川さんが、きちんとご両親に説明して、ご家族の中でどうするか決める必要があります」
先生の目は、何時になく厳しい。
あたしの膝の上で握っていた手が小刻みに震える。
「先生、あ、あたし声優を辞めるくらいなら進学なんてしない! ううん、今直ぐこの学校だって辞めるわ!!」
あたしは、生活指導室の中で、自分もびっくりするくらい大きな声で叫んでいた。




