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命の欠片たち

そこまですること?

作者: 羽入 満月

 学校生活で有りそうなことを書いてみました。

 合唱大会が近づいたある日のこと。いつもニコニコしていて優しい雰囲気の須方さんがキレた。その日は本番前の通し練習で各クラスが体育館の舞台の上で披露する日だった。高校生にもなると、恥ずかしがらずに頑張って歌おうとする子が増え、一クラスの人数も多く、クラスも8クラスと多いので張り合いもでる。

 その練習中に須方さんは、舞台の上で突然泣き出した。どうして泣いているのか分からなかった。練習がおわり、教室に戻って話を聞こうとするが、机に突っ伏して泣いていて話ができない。

 あまりにも歌が下手だった私たちのクラスは、授業が歌の練習になったので、彼女のことを気にしながらも歌の練習をした。暫くして、泣き止んだところを見計らって、委員長が声をかけた。

 「須方さん。どうしたの?何か嫌なことがあった?話だけでも聞かせて?」

 すると、須方さんが顔をあげた。そして。

 「私、音楽係だったの。」

と、少し怒った口調で言った。

 たしかに、須方さんは音楽係だけど、それがなに?みんなの頭に?が浮かぶ。

 「で、音楽係の数少ない仕事が今回の合唱の並び順決め。最初に貼り出すとき、順番は各パート、名簿で並べた。希望があれば言ってねってホームルームの時に言った!暫く、貼ってあったけど誰も何も言わなかったでしょ!!しかも、名前の漢字の訂正は、しっかりしてあった。みんな、見たんだよね。なのに!今日掃除が終わって、教室に戻ってきたら、新しい並びが貼り出してあってこの順に並んでね♪とか私、意味ないじゃん。最初から委員長がやればよかったのに。」

そういって、ポロポロとなみだを流しながら叫んだ。そして教室から出ていった。入り口で担任とすれ違い、てをつかまれても、それを振りほどいてはや歩きで去っていった。教室は、静寂に包まれた。私たちからすれば大したことないことだけど、彼女を傷つけてしまった。たしかに、みんなの前で発言することがあまりない子だ。きっと勇気をもってホームルームで発言したのだろう。そんなことがあって、一日が終わった。


 次の日。

 いつものように学校へ登校した。いまの季節、朝練のない部活の子はクラスで歌の練習にでている。教室に入ると驚いた。須方さんの姿があったから。練習には参加せず、自分の席で本を読んでいた。昨日の今日で来ているとは思わなかった。多分、クラス全員そう思っただろう。勿論、あとからやって来た担任も思ったようで驚いた顔をしていた。

 朝のホームルームのあと、担任が須方さんを呼び、廊下ではなしていた。私の席は、廊下側だったので、こっそり話を聞いてみた。

 「昨日は驚いたけど、今日来てくれて嬉しいわ。本当のところ、来たくなかったでしょう?」

 「そうですね。でも、こんなことでいちいち休みません。」

 「そ、そう。でも、無遅刻無欠席なあなただから、ちょっと位休んでもいいのよ。」

 「休んだら、出てきにくくなりますから。それに、休んでいる間にあったことを忘れられて、私は休んでいる間に色々と考えて落ちこむって言う時間なら無駄です。」

 「そんなことは無いとおもうわ。昨日はみんな、貴女のこと心配していたし。」

 「心配していても、忘れるものです。もし、わたしが休むことがあるなら、それは、毎日悪口を言われて 、総無視されて、ありとあらゆる嫌がらせをされるということが、三年以上続く、もしくは、それ以上のことが起こったら考えます。」

 「それは、どんな状況かしら。」

と、ポツリといた担任の言葉に私は激しく同意した。


 恥ずかしがりやで、優しく、笑顔で可愛い彼女は、自分にとても厳しく、他人にも厳しい人だった。どんなにつらい選択をするとこんな考え方ができるのかな。

 ありがとうございました。更新が遅めになってます。

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