後事を託し、次の街へその1
バトスピのデッキを考えてたらこんな時間か……。
長かったのでちょっと区切りますね。
「えー、そんな訳で……俺と一緒に次の街――メレッセリアに先行する面子を発表しまーす」
――レーレとカーニャによる説教から1時間後……。
皆で話し合って今後の方針が確定し、今はその通達と言うか最終確認の最中。
内容は悠理が決めた仮案が殆どそのまま通った形。
先行メンバーは、悠理、レーレ、カーニャ、ノーレ、リスディア、マーリィ、の6人。
ここに白風騎士団から10名が加わる。少数精鋭の偵察部隊――――と言うには戦力も錬度も足りていないが、個々のスキルが卓越している為さほど問題にはならないだろう。
とりあえず、先行出来るのはこの16名。明日の朝にはファルールと白風騎士団も出発するが、住民達の様子次第では更に遅れる可能性もある。
既にスルハへは緊急要請を送っているが、果たしてどこまで対応出来るか……。
「――で、マルコーと数名にはメノラには暫くここに残ってもらいたいんだが……良いか?」
「えっ、ボクですか?」
名指しで指名された事に戸惑うマルコー。だが、その目的がガルティ達の護衛であると聞かされると神妙な面持ちで頷いた。
「――解りました、全力を尽くします!」
彼の良い所は真面目で素直な事にある。こうして悠理からの頼み事にも快く引き受けてくれる辺りからもそれは見て取れるだろう。
――が、一方メノラはと言うと……。
『えー、ワタシも行きたいんだけど。カーネスの馬鹿がやらかしたんでしょ?』
明かに不満顔、頬を膨らませて文句を垂れる。
本気で嫌がっている感じでもないのだが、どうしても付いていきたい理由でもあるのかも知れない。
「ん? メノラはソイツと知り合いなのか?」
その予感は恐らく的中している。今回のグレッセ王都陥落の決定的要因たる人物の名を口にしたのだから。
『――まぁ、ね……。いつか生気を根こそぎ吸い尽くしてやりたい程度の仲よ』
語る口調は重い、言葉とは裏腹に恨みつらみがありそうにも見えない。という事は――――。
「そうか、恋人候補か……。なら、尚更連れて行けな――――」
『は、はぁ? アンタ馬鹿なの!? 今の何処にそんな要素があったのよ!』
悠理が導き出した答えに不満爆発といった感じのメノラ。出会ってから数時間……、彼女が初めて見せたこの明確な狼狽。それは、少なくとも彼女にとってのカーネスが唯の顔見知り程度では片付けられない存在であると言うこと。
「――とりあえず、そこは置いておくとして……。頼むよメノラ、適任者がお前しか居ないんだ」
クヴォリアにメノラを残していく理由は彼女自身も薄々勘付いていたが、改めて友人となった悠理から頼まれると断りづらい。
『……う、そう言われると、まぁ、確かに……』
元々、交友関係は広くないメノラだが、裏を返せば一度気に入った相手であれば、自身の全力で応え様とする性格の持ち主だ。――彼女も彼女なりの人生を生きる中で捻くれ、その良さは傍からは見えなくてしまっただけで。
「スルハからの増援と合流した後だったら好きに動いて構わないからさ、な?」
『…………先にグレッセへ着いても、カーネスの首は残しておいてよ?』
「応、任せておけ。訊きたい事もあるし、生け捕りしておくからさ」
『――なら良いわ。大人しく残ってあげるわよ』
ここでメノラも譲歩する――が、やはりその表情からは残念そうな色は消えない。
余程、カーネスの事が気がかりなのだだろう。今は無理だが、悠理は今度その話も詳しく訊いてみようと思った。
「良し、他に異論はあるか? ――――ないなら各自準備にかかれッ!」
その言葉を合図にして各員は速やかに行動を開始。即席の部隊とは言え、構成員事態は熟練の兵達だ。
しかも、その殆どはファルールの部下であるだけに、彼女が慕う悠理の言葉にも快く従ってくれる。
改めて考えれば、これほどスムーズに事を運べる環境を得られた事が全てにおいて良い流れを維持出来ている要因。
それは悠理の行動によって生まれた人徳か。はたまた何者かに仕組まれた結果なのか。
(まさか、この戦いの裏にそんな勢力が絡んでいるなんてなぁ……)
説教が終わって各員に今後の予定を通達するまでの僅かな時間……。その間にレーレから既に敵の正体については伝えられている。
まだこの事は悠理とレーレしか知らない。公にしても混乱を招くだけだろうと判断したからだ。
――しかし、胸の内に秘めておくにはあまりにも重い情報。
レーレの思った通り、悠理はその事実をあっさり受け止められたが、変わりに敵に対しての疑問で頭が一杯でもやもやとしっぱなし……。
(あー、考えても仕方ねぇか……)
考えても出ない答えに思考を費やすのは無駄以外の何ものでもない。
故に一旦保留し、悠理も出発の準備へ向かう。
(――――チーフか……、とりあえずテメェは必ずぶん殴る!)
――胸に確かな怒りと決意を刻みつけ、この街に起こった惨劇の元凶へ敵意を向ける。
この時、彼はどれ程時間がかかってもこの決意を果たすつもりだったのだが……。
その機会は思った以上に早く訪れることになる。
――そう、全ては今回の旅の終着点――――グレッセ王都にて……。
――うーん、このペースだと6月に入るまでに一章終わるかなぁ?
連休中にどれだけ書けるか、だよな……。
とりあえず、やれるだけやってみよう。