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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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見えないくせにチラつく影

やっぱり長くなりそうだったので分割商法にしまーす。


――しかし、どんどん長くなっていくナァ……。


130ページ(このままのペースで行った場合の大体の目安)までに第一章終わるかな?

「――さて、俺達は住民の介抱と状況説明とかをしなきゃな」

『ファルール達が既にやってるだろうけどな』

 地下へと繋がる廃墟に消え行くメノラを見送り、まだ戦いは終わりでないと言わんばかりの悠理。

 街をバドレの支配から解き放ったとは言え、それが良い事ばかりを運んでくると楽観は出来ない。

 スルハであった様に住民から何らかの反発がないと良いのだが……。

「それにしてもいきなりとんでもない事になったわね。まさかコルヴェイ王がこんな搦め手を仕込んでるなんて……」

「いや、多分コルヴェイ王とは別の勢力だぜカーニャ」

「――――――――は?」

 それは推測とも憶測とも言うには突拍子が無く、あまりにも情報が欠けている。その様な空想に近い発言にカーニャが素で驚くのも仕方が無いだろう。――――しかも。

『へぇ、根拠は?』

「直感さ!!」

「あ、アンタねぇ!」

 ――――理由があるのかと期待すればコレだ。全く根拠が無いくせに自信満々の笑顔を浮かべる悠理に脱力するカーニャ。レーレはと言えば、彼の考えを察したのか何やら思案顔。

「俺はコルヴェイ王の事は何にも知らないからな。その分変な先入観が無くて良い。――――逆に、だ。カーニャはこれがコルヴェイ王の仕業だって断定出来るか?」

「そ、それは――――」

 言葉に詰まった。確かに彼女もこの件には妙な引っ掛かりを感じなくもない。いや、()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()

 けれども、そう口に出すのは堪える。――そんな言葉がアタシの口から出るのはおかしいのだから。


『――まぁ確かに、ここまで支配が済んでて、スルハには大軍を仕掛けるってのは奇妙だな』

「だろ? 普通に考えたらおかしい。こんなに静かに制圧できたならもっと効率よく、グレッセを丸ごと乗っ取れたハズなのにさ」

 考え始めれば真相は闇の中。手探っても、憶測、推測、予想の域を出ない。

 ただし、この“奇妙”は間違いなく第三者の思惑に繋がっていると悠理は睨む。ノレッセアの事情に詳しくない彼に相手の覚えなどなく、手掛かりと呼べるものは何一つ手元に無い。

 それでも確実に居る敵意に向けてこちらも宣戦布告するかの如く、射抜くように夜空を仰ぎ見る。

 ――でも、澄み切った暗闇に浮かぶ星々が、その美しい光を瞬かせているだけ……。

 しかし、悠理は信じて瞳を逸らさない。そこに戦うべき相手が居ると頑なに信じて。

『――――あの淫魔が有益な情報を引っ張ってくるのに期待しておくか』

 横顔から彼の秘めたる決意を感じ取ったのか、メノラの成果に期待をかけるレーレ。

 得られる情報がどんなものであるにせよ、今の悠理には――――いや、もしかしたらそれは自分達全員に必要になるかも知れない。

 戦うべき相手がコルヴェイ王なら良し、他の勢力であるならその情報が解っただけでも良しとしよう。

 一番厄介なのは――――まったく見えない相手。これはレーレの邪推だが、死神が関わっているならば自分も然るべき対処を取らねばならない。――最もその可能性は限りなく低いだろうが……。

「そうだな、こう言う時の為に紹介してもらった拷問と尋問の専門家だしな」

 夜空から悠理の視線はレーレに移り、その期待に同意して笑う。

 ――――責任重大だぜメノラ?

 今頃、拷問が始まっている頃だろうか? こちらもやるべき事をやらねばと悠理が一つ頷いてみせる。


「とりあえず、アタシ達もファルールの所に――――ッ!?」

 カーニャが既に行動を開始しているファルールとの合流を提案しようとしたその時、遠くから怒号と悲鳴、絶叫とも取れる叫び声が響いてきた。

 それも一つや二つではなく、男も女も、老いも若きも混ぜ合わせた悪趣味な大合唱……。

 そう称して差し支えない、負の感情から巻き起こるそれに一同は不快感と警戒を露にした。

『こりゃあ……悲鳴、か?』

 死神として数多くの悲鳴や絶叫を聴いてきたレーレでさえも判断に困っている。

 あまりに不快、彼女の好物は命に縋りつこうとする執念を断ち切った時の悲鳴であるが。これは似ても煮付かない。

 それは――――まるで自ら死を願っているかの様……。死にたがりの命なぞ狩っても死神は何一つ面白くないのだ。むしろ不快ですらある。そう、今感じているのは同じ感覚なのだろう。

「――走るぞッ! カーニャは俺が運んでいく!!」

「え、きゃあッ!? ア、アンタ、ドサクサに紛れて何してんのよ!?」

 言うや否や悠理は彼女を抱き上げた。所謂、お姫様抱っこ。

 当然の如くイヤイヤをするカーニャだが、今は構っていられない。彼の直感に従うなら事は一刻を争う。

 強化された肉体でならば誰かを抱えていても30分は余裕で全力疾走できる。今はコレがベストなのだ。

『おい、カーニャ! 何羨ましい事して――――じゃなかった……。お前達は先に行ってろ! 念の為に眷属をコイツ等の護衛に召喚しておくから!』

 本音を漏らしかけて我に返る。今はそんな暢気な状況ではない。

 ガルティ達や捕まっていた少女を連れて行く訳には行かないが、かと言ってこのままにもしておけない。レーレは眷属召喚の態勢に入る。

「解った、ならお先に! カーニャ、確り掴まって口閉じてろよ? 舌噛むから」

「え、う、うん。解った!」

 有無を言わさない感じに諦め半分、勢い半分で頷いたカーニャは口を閉じて悠理の首に両腕を回す。

 それを確認すると彼は両足に力を込めて思いっきり地面を蹴りつけて走り出す。

 ――――目指すは負の感情渦巻く街の中心部!

今回は少し短め。


明日の分が大変そうだ。


次に備えて今日はもう寝るか……。


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