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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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THE 旅の夜・女性陣編

うん、本編更新とか無理だったよ……。


とりあえず、番外編投下!

 ――スルハを旅立った当日、その夕方のこと……。

 集団行動において事件と言うものは後を絶たない。それは些細なすれ違いから起こるものもあれば、決して譲れない物を賭けた大きな対立によって起こる事もある。

 今回はどちらかと言えば後者。女性陣のプライドを賭けた壮絶な戦いが始まろうとしていた……。

『ふざけんな! 何でお前らがユーリと同じテントなんだ!! 数が足りねぇなら外で寝ろ外で!!』

「ここは譲れませんね。私達にも都合がございますから……ねぇ、リスディア様?」

「うむ、あの獣面をろう……りゃく? する為には、寝込みを襲うのが手っ取り早いとマーリィが申すのでな」

 事の発端は野営用テントが不足していたことから。リスディア隊からかなりの数を引っ張って来たのものの、スルハ攻略強行軍――――或いは捨て駒となる可能性がある彼等にその手の新品など支給されているハズも無く……。

 その殆どは痛んでいるばかりで、昨日までは使えたのにさっき組み立ててみたらもうダメだった……。

 ――と言うのは日常茶飯事で。今回もその例に漏れず、兵士達から報告があったのだ。

 幸いと言って良いのか、何人かをすし詰めにすれば問題無い程度の被害……。

 問題は何処をすし詰めにするか。これが千載一遇の好機である事を、マーリィが気付かぬハズがない。

 悠理と合法的に同じテントで寝泊り出来る――――その好機に。 

 当然、その企みをレーレが黙ってみている訳も無く……。こうして主な女性陣全員で話し合っている所だ。 


「――ミスターの剣としても許可出来ないな。カーニャ、ノーレ、君達の意見は?」

 この場を公平に取り仕切る役目を任されたのはファルール。――とは言っても、彼女は彼女でややレーレの意見寄り。後は他の二人がどう主張するかにもよるのだが……。

「反対よ反対ッ! アイツと二人っきりなんて何されるか解ったモンじゃないわ!!」

「い、いやらしいのはダメだと……その、思います……」

 カーニャは猛烈に反対派、それは勿論リスディア達のこともそうだが、自分自身が一番嫌であることを

目一杯主張していた。

 何しろ、悠理に襲われてからまだ一日も経っていない。首や背中につけられたキスマークを思い出す度に顔を赤らめるほど鮮明に覚えている。この時もついうっかり顔を真っ赤にして首に巻かれたスカーフをしきりに気にした様に押さえていた。

 ノーレもやはり反対派、姉の一件を知らない為、彼女は悠理が何かをしてくるとは微塵も考えてはいない。――――が、リスディアとマーリィが“篭絡”と言う言葉を使う以上、男として何かの間違いを犯す可能性は否めないし、彼女達の方から襲うという可能性も十分にある。

 その考えに至ったからには反対派に周るのは自然なこと――――とノーレは思う。

 しかし、リスディア達と悠理の間に何かが起きてしまうのを何故反対するのか?

 ――本人もそこまで意識する事は出来なかった様だ……。

「むー、何じゃ揃いも揃って――――あ、解ったのじゃ!」

 だが、その一部はリスディアの発言によって氷解する事になる。


「お主等も奴と同じテントで寝泊りしたいのじゃろう? だからこれほどムキにな――――ひぃッ!?」

 どうやら彼女は無意識の内に物事の確信を突く才能があるらしい。最も、そうする事で自身に危険が及ぶとは考えられなかったみたいだが……。

『テテテ、テメェッ、何言ってんだ!? そそそ、そんな訳あるかよッ!』

「わ、解ったのじゃ!!、解ったからその物騒なものをしまえ!」

 例の如く、リスディアの首筋には音も無く現れた処刑鎌が突きつけられているが、動揺しまくりのレーレの手は小刻みに震えていて、いつもよりも脅し方に効果が増していた。

 刃がカタカタと揺れる度に我侭お嬢様の真っ白い首筋には鳥肌が浮かびっぱなしで、それが程の恐怖をもたらすかは想像に難くない。

「あらあら、レーレ様は嘘が下手ですねぇ……。グレフ邸に居た時はあんなにべったりだったのに……」

 主を救うべく……なのか、はたまた結果的に悠理を狙う一人として挑発をかけたのか……。

 いずれにせよ、マーリィがレーレに食ってかかったのは間違いない。

『――――へぇ? お面侍女、お前いつからそんなに命知らずになった?』

 処刑鎌が一瞬で掻き消え、もう一度姿を現した時には既に標的が変わっていた。

「おや、なら力づくで決めますか? 私は一行に構いませんよ」

 自身に突きつけられた刃を恐れた風も無く、更にレーレを挑発していくマーリィ。

 勝ち目が無いのは頭の良い彼女にも良く解っている。それでも引かずに立ち向かったのは――――乙女の妙なプライドとでも言えばいいのか……。

 何しろ既成事実を作れるかも知れないチャンスだ。これをモノに出来るかどうかで女としての真価が問われると言っても良かった。


「ま、まぁまぁ、双方落ち着け……。ここは間を取って私が――」

「えっ、ちょ、ファルール?」

「そ、それじゃ問題の解決になってませんよぉ……」

 公平性を保つ為の審判がさり気なく職務怠慢をするも、カーニャやノーレに突っ込まれ、いよいよ場は混沌としてくる。

 この剣呑な雰囲気を変える者は居ないと思われたが――――意外な人物によって再び空気が一変する。それも意外なほどの正論で。

「むーん、これじゃ埒があかんのぉ……ん? そうじゃ、獣面本人に決めてもらおうではないか!」

 今更ながら、これが悠理の意思を無視した会議で合る事に気付く面々。

 一同、『その手があったか!』と言う顔をしている。

『成程、そいつは道理だな。良し、そうとなればユーリを探すぞ!』

「ふふっ、ではお先に……」

 言うや否や、マーリィは我先にと駆け出した。リスディア親衛隊隊長にして侍女長たる彼女はその名に恥じぬ軽い身のこなしで、野営場所となった森の中を進んでいく。

「マーリィどの!? くっ、先手を取られたか……。我々も負けてはおられん!」

 既にレーレは後を追いかけており、残されたのは三人のみ。

 遅れを取ってなるものかとファルールも駆け出す――――その両手で各々カーニャとノーレの腕を掴みながら。

「えっ、うぇぇぇ!? ア、アタシは良いって!」

「あ、あーーーーれーーー!」

 有無を言わさず強引に連れ出された姉妹もこの戦いに加わり、ストッパーが居なくなる。

 それがつまり何を意味するのか……想像するのは容易かった。

 

 この後、悠理は訳も解らず必死の形相を浮かべる女性陣に追い掛け回されたのは言うまでもない。

 ――ちなみに、彼は結局、争奪戦に参加しなかったエミリーの膝で休む事にした。

『ごー』

「いやぁ、星が綺麗だねぇ……」

 それはそれで素敵な夜だったそうな……。

今更なんだけど、『宣伝してないのにブクマが――』って、ツイッターに登録した時点で多少の宣伝になってるんだから、宣伝ツイートしなくても効果があるのは当然だったね。


まぁ、実際ツイッターで知ってここまで来てる人がどれ位居るかは解らないけどさ。

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