表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
78/3916

番外編・闇に囚われた者達

ちょっと終わりそうにないんで先に投稿させてもらいます。


完成版は24:30までには出来てると思います。

 ――悠理達がクヴォリアに到着してから3時間後……。

 街の郊外には後続の白風騎士団が着いている頃であった。

 その時、某所では人知れずこんなやり取りが交わされていた……。

『――――ッ』

『――姉者、どうかしたの?』

 暗い暗い、光が射さぬ地下の牢獄にその二人は閉じ込められていた。

 いや、彼女達だけではない。地下には牢屋がいくつも存在し、その一つ一つには誰かの影がある。

 しかし、その中であっても彼女達姉妹だけは一際厳重に拘束されている。

 ――それはまるで、この二人を恐れているかの様だった。

『凄い、数の人が来た……みたい』

 言いながら姉者と呼ばれた少女は頭から生えた長い耳をピクピクと動かす。

 人間の耳ではない、強いて言えばそれは兎に良く似ている。

 つまり――――彼女は“祝福”によって変化した亜人種である、と言うこと。

 しかし、聴力に優れていると言っても地下深くに閉じ込められたこの状況……地上の音を拾えるハズがない。

 だが、今の彼女は音に敏感だ。何故なら――――視界が塞がれているから。

 その目には清潔とは言いがたいボロボロの包帯が巻かれていた。五感の一つが潰れているこの状況では聴力で情報不足を補うしかない。

 それが皮肉にも彼女の力を数倍にまで引き上げる結果となったのだ。


『我等の事に気付いて助けに来てくれた――――と言う訳ではないんだろうね……』

 妹の方は溜息を吐きながら落胆する。やはり彼女も人間の耳ではなく、頭から狼に似た獣耳を生やしている。

 この二人、生えている獣耳が違う為に実の姉妹ではないと思われがちだがちゃんと血は繋がっている。

 偶々、姉妹とも“変質系”の祝福を宿して生まれたが、各々別の種類に変質したのだ。これはノレッセアでは良くある事例の一つである。

『――残念だけど……』

 自分達を助けに来たのではないと落胆したのは少女も同じ。

 何しろ二ヶ月以上ここに居て、未だに救助が来る気配などない。

 獣系の亜人種は鼻が利くのにも関わらず、だ。なのにこの場所を特定できないのは余程徹底されているからなのだろう。

『……そう落ち込まないで姉者! 大丈夫、今に拙者が隙をついてここから――――』

『――――やめて……!』

 姉の暗い雰囲気を何とかしようと妹は元気付けるが、悲痛な叫び声に止められてしまう。

『もう、もういいの……。ウチ等は助からないって解ってる。だから希望を抱かせようとしなくていいの……』

『いや、そんなこと……』

『――知ってるのよガルティ? 貴女、もう全身に病毒が回ってるんでしょう?』

『――――ッ!? ……気付いてたんだ』

 狼耳の少女ガルティは、現在ある病気にかかっていた。

 それは地球で言うのなら狂犬病の様なもの。実際はその数倍はヤバイ病である。


『ウチはガルが庇ってくれたお陰で目が見えなくなるだけですんだ。……でも――』

 これは自然に掛かる様な病気ではない。とある魔物と言うべき化け物によって受けた毒が獣系亜人種の身体機能を狂わせるのだ。

 額にほんの少し傷を受け、流れた血が目に入っただけで彼女の目は見えなくなってしまった。

 ガルティはそんな毒を背中に受けている。

『何も言わないで姉者。拙者はダメかもだけど、姉者――ルガーナだけはここから逃がしてあげるから』

 ルガーナを優しく抱きしめる。その腕は細かく震えていて、ガルティがもう力加減すら上手く出来ない状態にあることを姉は察してしまう。

『ちょっと、何を考えてるの!?』

 自身の経験上、こんな時の妹は無茶をするものだと良く知っている。

 ――止めなければ! そう思う反面、一度だって止められた試しがないのをルガーナも解っている。それでも――。

『助からない命なら派手に暴れたって問題ないでしょ?』

『そんなのダメ――』

 ――それでも止めようとしたのは、やはりガルティが大切だからで……。

『――ルガーナ、もしもの時は覚悟しなきゃダメ……。拙者が居なくても生き延びて……、これは一生に一度のお願いになると思うから……』

 でもそれはガルティも同じ事。ルガーナのことを思えば、自分の残り少ない命でやれる事はしてやりたい。

 例え助かる確率がとてつもなく低いものだとしても……。


『……ガルティ』

 妹の悲壮な決意にルガーナはやはり折れるしかない。

 自分からもガルティの身体をぎゅっと抱きしめ返す。せめて、せめてこの温もりと感触を忘れまいとするように必死に……。

『さぁ、解ったら少し休んでいた方が良いよ。拙者の感だともう直ぐ嵐が来るから』

 うっかりすれば姉の身体に傷をつけそうな位の馬鹿力を発揮しそうになるのを、唇を噛んで力を調節し、兎耳の間にある小さなスペースをゆっくり撫でる。

 そうしながら、久しく見ていない地上を思い浮かべて天井を見上げる。

 ガルティにはハッキリと感じ取れていた。この狂った街を揺るがす転機の到来を。

 それが自分達にとって吉となるか、はたまた凶となるか……。

 何にせよ、来るべきその瞬間を彼女は待ちわびる。

 ――きっと、姉を救う事が出来ると信じて……。

ふー、終わったー!


歯医者行ったり、久々に地元でウインドウショッピングして結構時間が経っちゃってね……。


今書いてる本編が長い上に区切れそうもないから、その合間の番外編を書いて見ました。


明日は本編の更新を目指したい……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ