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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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解放を求めるなら先ずは自らを曝け出すべき?

「んっーーー! おおっ、外だ! 太陽だーーーっ!」

 召喚の祭殿がある洞窟から出て大きく伸びをする悠理。

 外では地球でもお馴染みの太陽が燦々と輝きを放っていた。

 数時間その姿を見ていなかったからか、余計に眩しく感じる。

 それはたったの数時間がとても濃密だったからかも知れない。

「それで? これからどうすんのさ?」

「そうね……。町までは結構あるから――」

「日が暮れるまでに着きそうもないですね……」

 つまりは――――――野宿か。

「――やったぜ!」

 おもむろにガッツポーズを取る。

 美少女二人と野宿……。

 男なら()()を期待してもしょうがない。

 ――その()()は個人の想像にお任せするとして。

(ユーリさん何を喜んでいるんだろう?)

(あんな顔して子供っぽい所あるからどうせ下らない事なんじゃない?)

 姉妹はそんな悠理に若干呆れ顔だ。

「おーい、二人ともー! 早く行こうぜー!」

 目の前に広がる森にテンションを上げつつ彼が手を振っていた。

「じ、自由だねユーリさん……」

「――まぁ、アイツはそれで良いのかもね」

 ノーレの言葉に苦笑しつつ頷いて二人も歩き出す。

 果たしてこれから先どうなるのか?

 未確定な未来の不安さえも彼の自由奔放さが拭い去ってくれる……。

 カーニャはそんな妙な確信を抱きつつ彼の横に並んだ。

 二歩後ろからノーレが続く。

 そして……。

『…………』

 その50歩程後ろから一人、こそこそとついてくる影があった。

「――ところでアンタさ……気付いてる?」

「後ろからつけて来てる()()()のことか?」

 勿論、と頷く悠理にカーニャは呆れて溜息を吐く。

「解ってるなら――――」

 何とかしなさいよ、と言い掛けた所で悠理がばっ、と勢いよく振り返る!


『…………っ!?』

 案の定、不意を突かれた相手は驚き慌てて隠れようとするが……。

「おーい、見つかってんだから諦めてこっち来いよー!」

 その声にビクッと反応して動きを止めた。

『…………うー』

 観念したのかトコトコと歩いてくる。

 赤髪のツーサイドアップの美少女だ。

「さぁ、俺の胸に飛び込んでこい!」

 腕を広げてカモーンのポーズ。

『するかバーカ!』

 あっかんべーをして拒否する美少女。

「うんうん、可愛いぞ()()()!」

 ご満悦でサムズアップ。

 どう転んでも自分においしいやり取りである。

『~~~~~~~~ッ!?』

 悠理の言葉に耳まで真っ赤にしたレーレは……。

『可愛いとか言うんじゃねぇ、馬鹿ぁぁぁッぁぁぁぁぁぁッ!』

 可愛らしい絶叫を響き渡らせるのだった。


――――――――――――

――――――

――――


 ――一時間程前。

「ふぅ……、あっ、もう動いて良いぞ二人とも」

 絶叫して動かなくなったレーレを抱えつつ、カーニャとノーレを解放。

 悠理はこれでもう安心だと言わんばかりの表情だ。

「ユーリ……アンタッ!」

 そんな彼へ足音荒くカーニャが近づく。

 憤懣やる方ないといった様子で。

「ん?」

 対する悠理は知ってか知らずか平然としている。

「その子に何したのッ!」

 いくら自分(カーニャ)の命を守る為だったとは言え、命乞いまでした無抵抗な相手の命を奪うなんて……。

 勇者として呼び寄せた彼にそんな事はして欲しくない。

 これから奴隷解放の戦いへと巻き込む張本人が言えた台詞ではないだろう。

 それでも、目の前であんな光景を見せられれば――――。


「いくらなんでも……あんまりよ……」

 耳に死神の悲鳴がこびり付いている。

 ――助けてと言っていた。

 その言葉を聴いてカーニャは無意識に助けようとした。自分の命を奪いにきた相手だと言うのに。

 けど、身体はまったく動かなくて……。

 ――――見殺しにしてしまった……。

 後悔の念がぐるぐると渦巻く。耐え切れず涙が堰を切った様に溢れて――。

「えーと、誤解してるぞ? こいつは気絶してるだけだ」

 ――――そんな事実を聴かされた。

「――――――へっ?」

 実に間抜けな声だったと、後に悠理は語る。――ビンタをお見舞いされたが。

「で、でもさっき命乞いを断って……」

 沈痛な面持ちだったノーレもその発言に驚きを隠せない。

 アレは演技なんかじゃなかった。

 本気で命を奪う者の()()。自分達は見慣れている。見間違えるハズがない。

 ――――だが。

「アレは嘘だ」

「え、えぇ……」

 あっさりと否定された。それこそ、嘘を吐いてない顔をしている。

 実に堂々としていて落ち着き払っている。これも今まで見てきた嘘を吐かない人の仕草だ。

『う……うぅん』

 彼の言葉が偽りで無いと証明したのはレーレの呻き声。

 姉妹がほっと胸を撫で下ろしていると、うっすらと目を開き始めた。


『う……、あれ……? 俺は――』

「よう」

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

 目を覚ました死神は寝ぼけている様な感じだったが、ソレも一瞬。

 自身を戦闘不能に追いやった相手を認識し、即座に悠理の腕の中から脱出する。

 あまりにも素早い動きに、悠理も少し面食らっていた。

 ――案外、タフだな死神って。

『こ、こっち来んな! 鬼、悪魔!』

 3メートルほど距離をとってしっしっと手を振る。

 それは子供が大型犬を追い払おうとしている光景を髣髴とさせる。

「えー、死神が言う台詞かそれ?」

『うるせぇ! 人のトラウマを強制的に思い出させた上に、恐怖心増幅して精神ズタズタにしたヤツにはピッタリだろうが!』

「おー、気付いたのか」

 一気に捲くし立てるレーレに対して感心する悠理。

 本来なら、訳も解らず一方的に精神を破壊尽くされ廃人になっていてもおかしくない。

 事実、彼は最悪そうなる事も覚悟していた。――後味悪いからそんな事態にはなりません様に!、と強く願ってもいたが。

 やはり、死神の祝福を持つ者は想像以上にタフであるらしい。

 ――――等と彼なりの分析をしていたら……。


「アンタ最低!」

「最低です!」

 姉妹から非難轟々であった。

 確かにレーレの言い方は正確で、悠理が如何にえげつない事をしでかしたか暴露したのだからこうなるのは必然だろう。

「――自覚はあります。すんませんしたぁッ!」

 この件については弁解のしようもないし、するつもりも無いので漢らしく土下座。

 洞窟のでこぼこした地面が脛に当たって痛かったが、そこも漢らしく我慢である。

 言い方はアレだが、正真正銘真面目な謝罪だ。

『クソッ、こんなヤツにしてやられるとは―――――ん?』

 毒吐きながらふと――いや、やっとレーレは一つの疑問に到達した。

『お前、何で俺を殺らなかった?』

 殺気を込めて睨む。顔を上げた悠理はばつが悪そうにしていた。

「何でってそりゃあ――」

 口に出しかけて悩む、どうすれば正しく自分の気持ちが伝わるのか。

『―――同情か?』

 彼女の精神に侵入(ハッキング)した際に色々と知ってしまった。

 性格や癖、今までどう過ごして、死神としてどれほどの命を刈り取ってきたか。

 それらは唯の情報に過ぎない。だが、その情報を受け取る側は複雑な気持ちだった。

 知らずにいれば躊躇することなく倒せていたのかも知れない。

 でも、知ってしまったから割り切れない部分も出てくるものなのだ。

 ――だから俺に同情したのか?


「――違う」

 ハッキリと否定する。それだけは迷わない。

『じゃあ――』

 どうして?、と問いかける間もなく理由を口にする。

「俺がヘタレで、踏ん切りがつかなかった……それだけさ」

 肩を竦める。偽りの無い本心だ。

 命を奪う事の恐怖、罪悪感。

 つい数時間前までは普通の社会人(退職したからニートかも知れないが)だったのだ。

 ここへ来て加速度的に自身の変質を感じ取っていても、いきなり己の全てをこの世界に対応させる事は出来はしない。

 だから、レーレと戦うことは出来ても殺せなかったのだ。


『甘ちゃんだな……結果的に助けられたからって、俺がその女を見逃すとでも?』

 呆れ顔で呟きカーニャを指差す。

 幾分調子が戻ってきたのか、口に死神らしい残虐な笑みを浮かべて。

「ああ、それについては大丈夫。ばっちり()()()()()()()()()()()

『は?』

 何もしないで解放する訳がない。

 保険というのは最悪の事態を想定して掛けておくもの。

 悠理は言った筈だ。『()()()()()()()()()()()()()()()()』、と。

 この後、死神は自分に何をしたかを聴かされて悶絶するハメになるのだった……。

おー、初めてポイントもらってテンション上がったせいか書けちゃったよ……。


いや、かなり雑だとは思うけども(苦笑)


このペースを維持できたら――――イイネ!


修正はまた時間のある時にでも。


次回、レーレに仕込まれた“保険”が明かされる。


合言葉は、『レーレは萌えキャラ、良いね?』だ!

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― 新着の感想 ―
[一言] なんでメス肉どもは助けられたのに助けた相手を非難して、危害加えようとしたやつを擁護してんの?俺ならその時点でくそ女と判断して見捨てるな
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