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ゼ・ハは離席した《深夜勤務マン3・暫定》
『少しお時間を頂きます』
『おう』と短い返事で瞳を瞑るユーリを確認した後、ゼ・ハは物音を立てないようにして仕事部屋を後にする。扉の先に広がるのは……ただの暗闇。観測者たる彼女の眼には割合しっかりとした構造物が広がっているのだが。
ゼ・ハの居るこの場所は“観測所”と呼ばれている。誰が呼んだのか?、そう言われると彼女でも答えに窮してしまう。何故ならば彼女がこの任に着いた時にはもうその様な名称がなし崩し的に定着していたからだ。特定の個人を突き止めるには彼女であっても情報不足だ。




