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航路5がどちらだとしても4《深夜勤務マン・暫定》
『――――』
ゼ・ハは静かに決意を固めるユーリを眺めつつ目を細めた。そこに込められた感情はやや複雑だ。運命と言う名の嵐に揉まれる彼に対する同情や憐みがないと言い切れない。
同時に羨ましさと憧憬が秘められた事を彼女自身も自覚していなかった。
ゼ・ハはその存在意義として、“世界の観測者”と言う立ち位置から逃れる事は出来ない。
無論、不満に思ったことないのだ。納得もしているし、使命感を覚えてもいる。
けれどそれは……“自由さ”に憧れない理由にもならないのだ。




