3950/3964
空の勇者クゥーイについて4《深夜勤務マン3・暫定》
――件の王子は何も考え無しだったわけではない。
王子の“職業ノ才”は“統べし者”。他の“職業ノ才”を身に着けた場合でも、その力を使いこなせる能力を持つ。“職業ノ才”は基本的には一つ、才能があっても身に着けつつ力を振るえるのは三つ。
しかしながら、王子はその“職業ノ才”の特性故に五つは身につけられる事が解っていた。
己の持つ力に溺れ、過信し、更に上を目指したのは愚かと言うにはあまりにもそうなるだけの道筋が出来過ぎていたように思う。或いは……その破滅までも。
唯一の敗因があったとすれば、クゥーイから奪った“勇者”は“空ノ勇者”として彼専用に変質していた事だろう。




