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航路4は――2《お出掛けマン・暫定》
『少々、お時間を頂きます』
――そう言ってからのゼ・ハは鬼気迫る勢いで宙に浮かぶタッチパネルを指で叩き始めた。その動きと音はまさしくマシンガンとでも言うべき速度。正確で精密な動きでありながら、荒々しくけたたましい音を奏でる指は、折れそうなほど細く見えて力強い……。
ある種の矛盾を孕む動作。しかし、それは無表情に見える彼女の目では捉えきれない感情を如実に表していたのだ。焦りや己の苛立ち――少なくとも、傍でその姿を見守るユーリにはそんな風に思えた。




