3895/3919
そして再びの放浪へ4《深夜勤務マン4・暫定》
“生命秘奥の気”は進化した能力はそのままに確立した“自我”は封印する選択をした。
――あくまでもユーリ・ヒロセの“力”。
彼/彼ら、或いは彼女/彼女らは自らの立ち位置をそう定めた。依然と変わらぬサポートの立場からなるべくはみ出したくない……。そう言った自制心が働いた形になる。
傍に居て、言葉を、心を交わす存在がユーリには大勢いるから。
常に“力”として彼と共にある己はそれだけである意味で幸せなのだから。
小さな、余りにも小さな愉悦感に浸りつつ、“生命秘奥の気”の“自我”はありもしない瞼をそっと閉じた。