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あらゆる世界の《深夜勤務マン・暫定》
――カチッ。
やけに小さな音。実に体感時間にして数ヶ月に渡る作業は余韻もなく終わって。
――ぶわっ、と。
“箱”から溢れてきたのは案の定と言うか、虹色の粒子だった。
だがそれは瞼の裏を優しく刺激する温かな光と言った様相ではなく、大海原を行く船を脅かす嵐もかくやな激しさでユーリを襲った。
「――う゛」
一瞬にして視界を濃い虹色で埋められたユーリは平衡感覚を奪われてしまったように倒れてしまう。
何とかしようとしても尚、身体に力が入らないのはどうやらパズルを解いた疲れの所為だけじゃないらしかった。