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“生命神秘の気”の起源を追って5《読書マン2・暫定》
『…………』
現状、このまま観測を続ける事だけがゼ・ハに出来る唯一の事らしい。
彼女はそれを悟ると、聞こえない程の小ささで溜息を吐く。
見続けること――彼女にとっての存在意義でもあるが、廣瀬悠理と出会ってからはそれしか出来ない事に歯痒さを覚えるようになっていた。
かと言って、他に何も出来ないのであれば、唯一出来る事をやるしかないのだ。
『――』
彼女は自分をそう納得させると、デスクの上にあったコーヒー(のようなもの)を煽る。
そうして、イッキ飲みしたビールジョッキをぶつける様にしてマグカップをデスクへ叩きつけた。
しかし、不思議な事に――――カップの中身は減っていなかった。