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現実逃避の結果5《深夜勤務マン2・暫定》
――透明で実体のなかったそれは今や半透明で、“生命神秘の気”で包めば多少は触れられるようになっていた。
「……寝てる間になんかしたのか俺?」
首を傾げるユーリ。違う。むしろ、何もしないで放置されたから向こう側が焦れに焦れて歩み寄ってきた様な状況だった。
なんにせよ、彼が知るところではないのだが……。
「寝る前よりも扱えそうな気がするが……。何をするのが正解なんだこれは……」
両手で貴重品を扱うように丁寧に掲げ持ちながら観察する。半透明になり、“生命神秘の気”の光によって見えやすくなった四角の箱。結局、これが何なのか解らない上、どう扱うべきか、或いはどう使用すべきかは全く見えてこない。