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たったひとつだけ、かなうなら5《眠眠マン・暫定》
『するべき事を全部やり終えたら会いに行くよ■リ』
『――ゆっくりで良いとも。私は逃げたりなどしないさ』
■リは少々驚き隠せずに目を丸くしながらも、微笑んで返した。
未だユーリは彼女との記憶を奪われたままだ。故にその名を口にする事は本来かなわないハズで……でもどうしてか、一文字だけ取り戻していた。
それはきっと自分の名の一文字と被っていた事もあるかも知れない。
或いは彼のささやかな、願い――と言うには切実で重く苦しい感情が生み出した執念が手繰り寄せた結果だろうか?