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たったひとつだけ、かなうなら4《深夜勤務マン3・暫定》
随分と長い時間、夏の夕暮れを眺めているユーリと少女。
景色は茜色から一向に変わる気配はない。それが意味する事は永遠であり、停止――命を終えたものはその場に留まると言う事の比喩なのだろうか?
気付くとユーリも少女も元の姿に戻っていた。
彼女は亡くなった時のまま。成人してるとは思えない程に華奢な姿で。
ユーリは彼女が知っている姿よりもややくたびれた感じを醸し出す人相の悪い顔に。
繋いだ手もいつの間にか離れている。嗚呼、二人は解っているし、一度経験しているのだ。
どれだけ名残惜しくても。どれだけそこに未練があったのだとしても。
決めた以上、二人は迷いはしないし、譲りはしない。
前回は違えた意見は今回に限っては一致していたのだ。悲しい事に。