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わらってまたあしたって5《昼夜逆転マン3・暫定》
彼女にとっての未練は割と単純。それは今、二人があった事もない子供時代の姿になっている事に起因している。“象徴”となってしまった彼女には、重くのしかかっていた“代償”があり、その為に子供の頃から病弱だった。
成人するまで生き延びたのが奇跡だったように思う。
まぁ、殆どをベッドや屋内で過ごしていた彼女の世界は狭く、VRゲームで外の世界を疑似体験するしかなかったのだけども。
――外で目一杯遊んで、笑って、また明日ねって。
そんな光景に彼女は恋焦がれていた。大半の人間が当たり前に経験する他愛もない事を、彼女は望んでいたし、愛していた。