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わらってまたあしたって2《深夜勤務マン5・暫定》
少女は押し黙る少年を見ながら笑った。胸中で様々な思いを抱きながら。
でも彼女は心のそこからこのシチュエーションを楽しんでもいた。
――それは終ぞ彼女が経験できなかったことの一つだったから。
(“象徴”か……。私はそんな厄介なモノだったんだなぁ)
暫くの間は自分の感情を持て余しているであろう少年を見つつ、彼女も生前の己について考える。
事情を知ったのは死んだ後。彼女自身もなんでこうなっているのかよく解っていないが、頭の中に必要な知識はきちんとある。
(遠い先祖に神秘が残ってた頃の時代、しかも姫巫女の血が入ってるなんて私が知った事じゃないんだが……)
彼女が“象徴”になってしまったのは、歴史だけはやたらと古い一族たちが始祖の“濃い血”を遺そうとした結果だった。