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たがいにただのしょうねんとしょうじょだったら5《深夜勤務マン3・暫定》
『互いにただの少年と少女として出会えたら……。そう何度も思ったのは本当の事だよ』
少女は苦笑するように微笑む。かつて何度もユーリの前で弱音や願望を吐こうとして……終ぞそうする事はなかっただけに、彼の困惑は正しい。
言わなかったのは単に彼女の意地だった。何とはなしに己の特異性を感じ取り、死を悟った彼女に訪れた希望と言う名の未練……。
『まったく、何もかもを受け入れた時になってようやく白馬の王子様が現れるものだから……まったく、人生ってやつは……』
夏のあかね雲を眺めつつ彼女は哀しそうに笑う。




