3829/3920
たがいにただのしょうねんとしょうじょだったら3《深夜勤務マン・暫定》
『――本当に未練たらっしいな』
少女となった彼女と共に夏の夕日を眺めながら、少年は呟く。
いくらこれが彼の願望であっても、心の底から望んだ未来だったとしても。
彼はもう知っている。それが訪れなかったものだと。決して辿り着くはずもなかった場所であると。
『未練だとは……随分薄情じゃないか?』
如何にも『心外だ』と言葉にも態度にも滲ませて少女は少女らしからぬセリフを吐く。
『⁉』
驚いて少年が真横を見て呆けたのも無理はない。
これは幻覚で、自分の見せた未練なのだと思っていたからだ。