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たがいにただのしょうねんとしょうじょだったら2《遅刻マン・暫定》
――これは酷い。
ユーリが見せられた幻覚はここ一番と言っていいほどの出来だった。
目の前に彼女が居る。しかも、子供の姿で。全くもって現実味がない事が幸いしたのか、彼は冷静に自分自身の姿も確認した。
――まぁ、そうなるか。
見たこともない彼女の姿に呼応したかのように、自らの手足も小さく、短くなっている。
有り得ないシチュエーションにいっそ笑えてきそうになる。
彼女と出会い過ごしたのは社会人になってから、半年にも満たない期間だった。
幼い頃の姿など知っているハズもない。同じ時間を過ごしているハズもない。