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ばか《お出掛けマン・暫定》
「どうやら俺は……相当な馬鹿らしい」
一つ一つが必殺の猛攻をあっさりといなされて流石のユーリもクールダウン。
だからなのか、ぽつりと零したその言葉は身体中の熱を排出かの様に吐き捨てられた。
「覚えてないのに、覚えている……未練がましいったらありゃしねぇ……」
止まる事を知らない涙を無理矢理拭って、赤くなったその目で透明なるモノを睨む。
相も変わらずその瞳にその姿は映っていないし、消し去られているのだから記憶に彼女の面影が残っているハズもない。
――ないのに、そこには確かに彼女が居るような気がして。
それが、未練。奇跡を願って、そんなものは無いのだと思い知らされた過去。