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かこはかこ《時間調整マン・暫定》
(――解ってるよ。そんな事は……!)
千々に乱れる心の奥底で、血反吐を吐く様にしてユーリが唸る。
未だに記憶は奪われたまま。透明なるモノの姿もロクに見えてなどいない。
でも、それでも。
心か、魂か。それがアレは彼女だと叫んでいる。或いはそう錯覚させるナニカの仕業なのか。
がむしゃらに突撃を繰り返しつつ、残った理性らしい部分で何度も考える。
(例え、アレが本当にアイツでも――過去は過去だろうがッ)
否定する――起きて欲しかった奇跡であろうとも。
終わった者はもう戻ってこれないなのだから。