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なみだ《深夜勤務マン4・暫定》
対峙する見えない何か。それはユーリを攻撃する意図などないのだろう――少なくとも、第三者の視点から見ればそう感じる。
叫び、怒り……そして涙を流しているのにも気付いていない様子のユーリをただ遠ざけようと、風や嵐、吹雪、蔦、土の壁等を駆使しているのがその証拠。
透明なるモノの表情は見えない。故に感情があったとて気付く事はなく、正確な所は解らない。
ただ、間違いなくそれはユーリとの戦いを望んではいないのは確か。戦闘状態に突入して既に十数分が経過しているが、透明なるモノが彼に攻撃を加えた事は一度もないからだ。