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さけび《深夜勤務マン2・暫定》
――最後はいつだったろうか? 思い切り、何も考えず泣いた事は。
ユーリは覚えていない。消された記憶の中にその瞬間があった事を。
運命が、或いは因果と言うモノがあったとして。彼にとっての運命と因果は此処だった。
ユーリをユーリ・ヒロセとして確立させているモノ。
彼を廣瀬悠理と区別させているモノ。
――それは“象徴”。
「――――――――ッッッ!!!!」
叫んだ。もしくは獣の様に吠えた。なのに、ユーリに自身の声は聞き取れない。
声なき声だったのか、本当は叫んでなどいないのか。