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待つ者、立ち向かわされる者3《眠眠マン・暫定》
妙な既視感に顔をしかめながらも、ユーリは玉座の間へ続く巨大な扉に手をかける。
人一人の力では到底押すことなど出来ぬ巨大な扉だ――普通なら。
生憎と彼自身もう普通では無い事を自覚している。始まりは多分、覚えてもいないあの出来事から。
だから彼は意識しない。出来ない等とは微塵も思わない。平然と、極々自然に。
――ズッ、ズズズ……!
明らかな超重量の物体がゆっくりと動き始める。ユーリとしては三割も力を入れていない。
勿論、普通の人間の数十倍近い膂力を得ているのだから、むしろこれくらいは当然のこと。