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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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似た者同士の夜と贅沢な時間

花粉の性で仕事で感じる疲れが二倍に……。


鼻水ズルズルで大変だったぜ……。


そんな訳で今回は少し短め。

 ――戦闘終了から5時間後……。

『とりあえず今日はここで野宿だな』

 スルハへの帰路でレーレ達は森の中に洞窟を見つけ、そこで野宿の準備を進めていた。

 まだ日が暮れ始めた頃だが、悠理は未だ目覚めず。無いとは思うがリスディアや野生動物、第三者の襲撃を警戒し、早めに休息を取る事となった。

「ああ、お前は先に休んだらどうだレーレ、疲れただろう?」

 今日一番の戦功者は彼女だろう。ましてや1200を一撃で沈黙させる離れ業、仕組みは解らずとも疲労は溜まるハズ。それに比べて自分は殆ど戦いに参加しなかった――いや、する暇もなかった訳だが。

 ともかく、敵は悠理とレーレの二人で行動不能にしてしまった為、ファルールには出番が回ってこなかった。ならばせめて見張り役くらいは引き受けようとも、でなければ付いて来た意味もないというもの。

『お前こそ、心労が溜まってるんじゃないか?』

 悪戯な笑みを浮かべ、レーレがそう指摘する。彼女は悠理が戦闘中はらはらと落ち着きが無かった。信じる、と言う誓いは嘘ではないだろうが、それと心配はまた別。

「――確かに。ミスターの戦い方は危なっかしくて寿命が縮む」

『違いねぇな。カーニャやノーレには見せられねぇぜ』

 お互い意見が一致して苦笑、いくら自分の能力を最大限に生かす為とは言え、あえて死地に身を置く真似は見ていて心臓に悪い。

 何より少なからず好意を抱いている相手が傷つくのは乙女心的にも辛いのだから……。


「この方は一体どこまで行くのだろうな……」

 アズマの背に持たれかかり眠ったままの悠理……。ファルールはまるでそうする事で未来を見透かそうと言わんばかりに目を細めている。

 たった一度の戦闘で、ゴーレムを打倒するまでに進化を果たした彼が行き着く先……。

 そこにあるのは平和な未来か、それとも日々戦いに明け暮れる世界か……。

『案外、この世界を支配しちまう位には成長するんじゃないか?』

 思考を読み取ったかの様なレーレの言葉。

 確かに彼の力は世界を支配するに足る強大なもの……だが、些か疑問を抱く。

「彼がそんな事を望むか?」

 この世界で彼が戦う理由は“カーニャとノーレの願いを叶える為”。

 自分自身の理由はきっとまだ探している途中なのだろう。

 だが、支配が彼の戦う目的になるとは、付き合いの短いファルールでも違うと断言できる。

 何故って廣瀬悠理はまたの名を――――自由の使者・ミスターフリーダム。

 自由を愛し、自由を与えるものが支配を望むとは考えにくい。勿論、人は完全ではないから時々矛盾を犯す。だから彼が何かを支配する時がいつか来るのかも知れない。


『望む望まないじゃないのさ。力を持った奴ってのは否応なくそうせざるを得ないもんだ』

 500とちょっとの生き証人が歴史を語る。古来より力有る者が辿る末路を。

『それは俺みたいな死神もそうだし、この世界の神様だって――』

 力を持ってしまったが為に束縛され、それ以外の生き方を赦されない。

 何たる理不尽だろうか? だが理不尽とは得てしてそう言うものである。

「ちょ、ちょっと待て! 今何かさらっととんでもない事を言わなかったか?」

 ここで遂にレーレの秘密を知るファルール。今まで只者ではないとは感じていたが、あえて無用の詮索はしないでいた。例え知ったところで、戦友としての意識は変わらない、変わらないが……。

 想像していたよりも遥かにランクが上の存在であった事に驚きを隠せない。

『ん? ああ、ノーレが伏せてたんだっけか? まぁ、お前とは長い付き合いになりそうだし別に良いけどよ』

「そうか、それならあんな芸当が出来るのも頷けるが……何でまたミスターと行動を?」

 どうしてもそこが気になってしまう。死神とは本来敬遠されるべき者で、彼等も人間を格下とみなしているケースが多い為に、敵対することはあっても共闘する事例は極めて異例。

 それに死神打倒は多くの者にとっての憧れの的であり、成功したのなら英雄として賞賛されること間違いなし。騎士であるファルールにとっての死神とはそう言う位置づけである。


『ま、まぁ、色々合ってな……』

 祝福の改竄によって“ペット扱い”されている――などとは口が裂けても言えるものではない。死神の意地と誇りを賭けて全力で誤魔化しにかかる。

「ミスターの事が好きだからか?」

『――なぁ、その質問って定番なのか?』

 色々、と言われて何故そっちの方へ解釈が行くのか……。

 そう突っ込みたいがこれで三度目の質問なだけあって、そろそろこれが世界の常識なのかも知れないと錯覚し始めていた。

「当然だろう、こうして野宿をしながら女同士で語り合う話題など他にあるまい?」

『そ、そうなのか……』

 女騎士はハッキリとそう断言する。参加すれば命を落とすことだって有り得るのが戦争……。

 そんな時、未練を残しては戦えない。だから大きな戦いの前にはこうして女同士で集り、互いの思い人を打ち明けあう。自分が死んだとしても仲間の誰かが生き残り、変わりに思いだけでも届けてくれれば、と。切なく悲しい願いを託す儀式……。

 最も、今はそんな重苦しい雰囲気ではなく、あくまで仲間同士の雑談である訳だが。

「別に嫌いな訳ではないのだろう? でなければあんな情熱的に――そ、その……」

 ハッキリと口に出すのは流石に憚られる。ファルール自身も異性とのあれこれと縁が無かったからでもあるが。力を取り戻す為とは言え、嫌いであればあんな風に激しく唇を奪うハズがない。いくら縁が無かったとは言えそれ位は察せる。

 自分も一応乙女なのだから……。

『だーっ、その話はやめろって!』

 恥ずかしさに思わず叫ぶ。恥ずかしさと共に感じる楽しさは、似た者同士だからか。

 死神と女騎士は、自分達の立場を一旦忘れて、あーだこーだ言いながら恋話に花を咲かせる。

 こんな時位、普通の女の子に戻っても良いだろう。

 そんなちょっとした我侭を叶える贅沢な時間はあっと言う間に過ぎて行く……。

冒頭で言った通り、鼻をかみすぎて何だか力を奪われた気がして内容がいつも以上に微妙に……。


まぁ、手直しはその内しますので今は寝させていただく!

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