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警戒は加速する・ローラ《深夜勤務マン4・暫定》
彼女に焦りが生まれていた。世の中には大きな壁がある。
今まで彼女にとってはそれはジェミカだけだった。あまりにも大きい、大き過ぎる壁。
それを砕くなり、昇るなり、回り込むなりしなければ人生なんて立ち行かない。
まだ若いローラがそこまで達観した考えを持てているかは解らないが、頭で理解していなくても本能で解る事もある。
だからこそ――ユーリ・ヒロセは彼女にとって壁なのだ。
ジェミカに次ぐ同等の壁。大きな、大きなその壁は彼女にとっては脅威でしかない。




