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ユーリの進化と真価2《早出深夜勤務マン・暫定》
「お前なぁ……覚悟を決め過ぎだ」
かつてシミズ流の師匠はユーリが“死返し”で引き分けに持ち込んだ時、脇腹を痛そうに摩りながらそう苦言を漏らした。対するユーリは鳩尾を押さえて悶えていたのでそれどころじゃなかったのだけれど。
「しかもその時に限って集中力がずば抜けていやがる」
あまりにも危険だ。武器を持って対峙する、戦場に立つという事は既に半分は死んでいるようなもの。
だから死ぬことへの覚悟は別に良い。けれども、ユーリの見せた覚悟はそれとは微妙に違う。
死の一歩手前でこそ全力を出せるという事は、死に生きると言うこと。
つまりそれは――死にたがりにほかならない。




