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遠い背中、いつか追い越していく背中5《早出深夜勤務マン2・暫定》
ユーリの本質は“死に急ぎ”である。
何時、何処で死のうとも、それが結果的に『自分らしい』と思えるならそれでいい。
異世界に来て人との関りを得て多少は変わってきてはいるのものの、根っこは早々に変わらない。
だからこそ、自分の身に降りかかる危険はある程度までは簡単に受け入れてしまう。
まるで受け入れるべき“代償”だ……とでも言うように。
「――行くぞ」
静かに呟く。自身の熱の力は探りつつ、陽炎の化身から攻撃を受けつつ、把握し始めていた。
胸の奥、心臓の更に奥。そこに魂があるのかは定かではないが、少なくともユーリの熱はそこにあった。




