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遠い背中、いつか追い越していく背中《早出深夜勤務マン2・暫定》
戦いの中、ふと過った修練の記憶にユーリは――何とも言えず顔を顰めた。
師匠が柄にもなく自分を心配していたのは知っている。
がさつで面倒くさがりやでだらしない。父親と師匠は彼にとっては反面教師の良い教材だった。
勿論、尊敬している部分もある――――本当に少しだけだけども。
見えない打撃を浴びながらユーリは思う。なんとはなし、だ。
殴られた感覚、痛みはある。だけども、それも何処かうつろだ。何でもない彼の回想の前では。
子供の頃と今。感じ方、世界の見え方が違う。
大きいと思っていた背中は小さく感じ、遥か先に居たハズの人が遥か後方へ行く。
――なんだかなぁ、と彼は思った。
それが自然の摂理、時の流れなのだろう。
が、納得がいくかはまた別だった。憧れは憧れのまま。永遠になんて望めないけれども、けれどももう少し。




