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ユーリ・ヒロセの特性?2《深夜勤務マン3・暫定》
「――うぐッ⁉」
死角から放たれる歪む白モヤの一撃を受け止めたものの、ユーリは十メートル近く吹き飛ばされた。
強い。いつもの事だが、彼が夢の中で戦う相手――“力の化身”とでも呼ぶべきか?
それは彼自身の力を最大限まで発揮できる理想形……。言わばこれは稽古とも呼べるもので。
(いつの間に死角を取られたのか解らねぇ……)
ゆらりゆらりと、身体を揺らし、或いは歪ませながら迫りくる白いモヤ。
その姿を油断なく見据えながらユーリは顔を顰めるしかない。これが稽古である事を考えれば、種のあるトリックなのは間違いないのだが……。
全身から“生命神秘の気”を放ち、触れた瞬間に捉えられるようにしているのに……それが機能していない。




