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理解し、淀みは濁りを増す2《早出深夜勤務マン・暫定》
――逆恨み。
理不尽とも言えるその感情は、どうやら龍と言う上位存在ですら持つようであった。
いや、知性が、知能が宿るのならばそれもまた当然の帰結と言えるのだろうか?
『嗚呼……そう、そう! なるほど!』
彼女は唐突に歓喜の声を上げた。気付いた。気付いてしまったのだ。
今まで真に理解していなかった。彼女は濁りを好む。ドロドロに溶けてグチャグチャに歪んだ心を。
だが、ようやく気付く。理解に至る。彼女の、彼女たちの胸に巣食うその歪さの正体に。
――憎しみ。
高位種族とも言える龍である彼女は何かを憎む事はない。あったとしてもそれは戯れで、見せかけだけのポーズでしかなった……今日までは。




