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水龍王の娘の不運5《深夜勤務マン2・暫定》
彼女は余りに無頓着過ぎた。余りにも楽観的過ぎだった。
怒り、と言うものを侮っていた。下等生物のそれなど、自分を前にしてはそよ風にすらなりはしない、と。高を括っていたのだ。
その代償が――これだった。
『――――ッ!!』
致命傷にはなりはしないが、立ち込め、吹き付ける水蒸気は嫌がおうにも彼女の体温を上げていく。
普通の人間であればもうとっくに茹っているであろう高温が白い霧……悪夢の様に周囲を囲っている。
水龍王の娘は無様にも逃げ回る事しか出来ていなかった。




