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噴き出す蒸気は怒りの証5《爆睡マン・暫定》
水龍王の娘にとってそれは初めての経験だっただろう。
取るに足らない下等生物に噛みつかれると言うのは。
しかも、その下等生物は不遜にも上位存在である自分を嚙み千切ろうとしている!
まさに爆発。内に秘めていた怒りの熱を反映した様な水蒸気によって蒸焼きにでもしようと言うのか、彼女を高温の濃霧が襲う。
退く、と言う選択肢など彼女は持たない。下策も下策。悪手も悪手。
危険から遠のくのは恥ではない。戦術としての後退を選ぶのは間違いではない。
けれど、そんな理屈、思想など彼女は持たない。龍だから。圧倒的な上位存在であるから。




