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冷たく澄んだ淀み4《早出深夜勤務マン2・暫定》
『フフフ……』
狩人の或いは捕食者の笑い声が濃霧の中で響く。上下左右、あらゆる場所から。
それに合わせるように一面の白から氷の礫、針、槍と言った多種多様な飛び道具が飛んで来てユーリを襲う。
「――チッ」
ガンッ、キィン、ギィン……。展開した“見えざる外装”をけたたましく叩く音を聞きながら防戦一方のユーリが歯噛みする。単純に突破口が見えない。
水龍王の娘は狡猾で計画的だった。仕留める為の算段をキッチリ用意してから挑んでいる。
一方的な狩り……蹂躙を楽しんでいるきらいはあるものの、油断などはしていないだろう。




