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燻る火種はそこかしこ5《深夜勤務マン2・暫定》
――何だか面白いことになっていますね。
教室で静かに読書にいそしみながら、彼女は静かに微笑む。
何名かの男子生徒がその横顔に見惚れて呆けた顔をしていた。
けれど、彼女には全く興味がないし気付きもしない。
件の事件が終わって彼女は変わった。少なくとも彼女の姉は妹のことを殊更に警戒していた。
だからだろう。彼へ――ユーリへ近づくことを露骨に阻止する動きを見せる。また姉から聞かされている為か、周囲の動きが呼応しているように感じた。何とも拙い連携、即席の包囲網と言うつもりだろうか?




