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燻る火種はそこかしこ4《深夜勤務マン・暫定》
――あの子も良いな。
まるでショーケースの中にある宝石に目移りする少女の様に。
水龍王の娘は瞳に映る少女をうっとりした顔で眺めた。
良い、とても良い。とても…………濁っている。
生きている内に濁っていく者は多い。欲に濡れてどんどん肥え太っていく汚い豚達とは違う。
純粋で、純粋すぎて。狂おしいほどの焦燥の果てに壊れ、狂い、濁った人……。
唯一の目的を果たす為、それ以外を捨ててしまえる人。
少女は未だそのなりかけだが、このまま進んでいけばそう成り果てるだろう。




