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きっと、久しぶりが似合う2《深夜勤務マン5・暫定》
アルルウェロメノレーカは致命的なミスをした。
彼女はユーリよりも、カズラクロウスとテテファグレーンの方が脅威だと思った。だから背後を取られても大して警戒はしていない。だから――――対応が遅れてしまった。
『『――――!?』』
眼前に立つ脅威が頬を引き攣らせ、一歩下がる。この異常に即座に気付けてさえいれば、まだ状況は彼女に傾いただろう。でもこの時の彼女はその反応を見て多少訝しむくらいしかしなかった。
――背後は致命的に隙を晒したまま。
一方、じりじりと離脱する準備を整えている彼女達には良く……よぉく見えていた。
「――――」
ニヤァ、と。邪悪な笑いを浮かべる無精髭の男。彼の身体から吹き出る黒い靄が、その表情まで黒く覆っていく様を。




